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#95

「言っとくが、亜子さんは君の所へはやれない」


 席に付いていざ、本題に入ろうとしたらいきなりカタヤの奴がそんなことを言ってきた。それに当人である亜子が反論する。

 

「私は軍に入った覚えなんてない!」

「だが君はアンティカを動かした。アンティカはこの国の最重要戦力だ。ミリアが居ない以上、君に拒否権はない。そうですよね博士」

「まあそうじゃな。亜子君が居なくなるのは困る。なに、不自由はさせんよ」

「でも……私は……」


 亜子は不安そうだ。それはそうだよね。いきなりわけわからない世界に飛ばされて、ロポットに乗らされて戦争を体験したんだ。誰も殺しはしなかったみたいだけど、軍に居るって事は、そのうち絶対に命を奪う事になる。それに奪われる事になるかもしれない。それを考えるとね……亜子には辛いよね。まあアンティカに乗ってれば、そうそう戦場でやられる事は無いと思う。

 でも、領土を増えして人種の地位を向上するとなれば、上位種とまみえるときが来るだろう。それはまだ先だと思うけど、覚悟は必要だよね。アンティカに乗り続けるって事はその時が必ず来るって事だし。

 

「亜子に選ばせるのが筋だと思うけどな。誰かが誰かの代わりにはなれないんだから」


 私はそう口添えする。そもそも私は亜子を自分の領地に連れていきたいし、アンティカに乗るなんて反対なのだ。

 

「そんな事はわかってる」

「そうかな? カタヤは亜子に妹の影を見てるんじゃない? ハッキリ言ってあげるけど、亜子はミリアちゃんじゃない」

「元はといえば君が!」

「あの時は敵だったし。戦争なのよ。恨んでもいいけど、覚悟くらいしときなさいよ」


 それともカタヤはアンティカに乗ってるから絶対に安全だとでも思ってたのだろうか? 戦争だけど、自分の大切な人達は死なない、そんな都合の良い世界だとでも? お笑いである。

 

「亜子さんはやらない!」

「だからそれを決めるのは亜子でしょ?」

「彼女は機密に触れた。特殊な状況だったとしても、このまま野放しになんて出来ない。それは国の総意だ」


 厄介な……確かに機密に触れた以上管理下に置かれるのは仕方ないのかも知れないけど……でも私が嫌といったら嫌なのだ。そもそも亜子がこの世界に来たのは私のせいでもあるしね。戦争の道具にされるのをただ見てるだけってのは癪だ。


「亜子の状況がわかって、いつだってここに来れる様にすればいいんでしょ? なら私が転送できるからここに居なくても問題なし」

「自分の領地からここに毎回亜子さんを飛ばすと言うのか?」

「楽勝」


 まあ、今は本当は出来ないけど。でもそんなのは亜子を確保してから考えればいい。なので今はこの堅物から亜子を華麗にさらうことが優先だ。

 

「ライザップで誰がアンタ達をあの空挺まで転送したっけ?」


 私はニヤリと笑ってそう言うよ。カタヤ達は私の力を目の当たりにしてる。でもそれが条件つきだとは知らない。ならこちらが有利。

 

「博士!」

「うーん、なかなか面白い素体じゃし、本当は手元に置きたいところじゃが……君を敵にはしたくないからの……」

「よくわかってるじゃない」


 博士は私にトラウマあるもんね。普段はそんな素振り見せないけど、心の奥ではあの出来事がかなり心へのダメージになってるらしい。

 

「亜子!」

「亜子さん!」

「ええ!?」


 私とカタヤがそれぞれ手を差し出す。どちらを取るかは亜子の自由だ。絶世の美少女の私か、イケメンなカタヤか。ある意味究極の選択だね。亜子は私達を交互に見てたけど、心を決めたのか目を閉じた。そして――

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