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閑話 ある日のコランの日常 8

 私が歩く。彼女達も歩く。私が止まる、すると彼女達も止まる。私が振り返ると、皆さんピシッと背筋を伸ばして緊張します。


「えっと、もっと楽にして貰っていいですよ?」


 私がそう言うとちょっとざわつく彼女達。どうやらどうして良いのかわからないって感じです。ううーん難しいです。彼女達にとっては私達もとっても雲の上の存在らしいです。でもファンと接する様にするとは違うってミラお姉ちゃんは言ってました。


 だからこっちもどうして良いのかわからりません。てかシシちゃんが受け持つ筈だった人たちまで私の方に来てるから、大所帯になってます。まあ十人くらい楽屋に入ったとしてもそれでもまだまだ広い楽屋してますけど……お仕事始まったし、きっと戻ってきてる筈なんですけどね。でも……私は後ろについてきてる人たちをみて、もう一回息を吐きます。


(このままシシちゃんに半分くらい押しつけるのも悪いですよね)


 シシちゃんに……じゃなく、彼女達にって意味でです。なにせ私へ対してもどこかおびえたというか、緊張しまくってるんですよ? それなのに、あんな事を言われたシシちゃんなんかに預けたら、きっと緊張でいっぱいいっぱいになる子が出てくると思います。


 ミラお姉ちゃんもフィリーお姉ちゃんが受け持つ筈だった人たちを受け入れてるから状況は一緒の筈ですけど……向こうはどうなってるんでしょうか? 知るよしないです。でも流石に一日この雰囲気は辛い所があります。


「おはようコランちゃん」

「犬さんさん、おはようです」

「うおっ!? なんか威圧感が半端ない……ね」


 何を言ってるの? とかおもったけど、どうやら後ろの皆さんがマネージャーの犬さんさんマネージャーをにらみつけてるみたいです。


「えっと、おはよう」

「「「おはようございます!!」」」


 けど、犬さんさんマネージャーが挨拶すると、元気よく声を揃えてあいさつしてくれた。でもそれが終わると睨んでたですけど。


「まあ僕達は君たちの担当にはならないから良いんだけどね」

「そうなんですか?」

「プリムローズが忙しいって事は必然的にこっちも忙しいって事だからね」

「なるほどです」


 確かにそういうことになりますね。私たちが知らないところできっとマネージャーさん達はなにかやってるんですよね。そう思うと、犬さんさんマネージャーを睨むこの人たちにはメっていった方が良いのかも知れないです。そういうの、苦手だけどマネージャーさんとの関係って大事ですからね。


「え、えっと、わ、私は犬さんさんマネージャーの事信頼してるから、睨んだりしちゃダメです!」


 頑張ってそんな事を伝えてみた。届いたかな? きつく言い過ぎたかな? そんな事を心配したけど、なんか皆優しい顔をしてくれてます。どうやら伝わったみたいです。よかった。なにか私にその生やさしい視線が向けられてる気はしますけど、皆さん笑ってたほうが良いですもんね。

 アイドルは笑顔が命です!

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