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閑話 ある日のコランの日常 6

 沢山の人に見られながら食事をする。勿論はじめてじゃないけど、そういうのはお仕事だけで十分かなって私は思います。だってただ単純に落ち着きません。私達プリムローズの今日の朝食はスープにサラダに卵を染みこませた甘いパンです。


 サラダは色とりどりな新鮮な野菜が使われてて、ドレッシングも何種類かから選べる仕様。スープも何種類かあって、どれかをメイドの人に伝えると、装って持ってきてくれます。卵を染みこませたパンは昨晩から用意されてた物で、ふわふわほかほかです。勿論パンも厚みがあってこれも高いパンの筈です。

 フォークでパンを押すと染みこんだエキスがジュワーってなります。勿論パンをつけ込んだ卵だって最高級でしょう。濃厚です。


 ゴクッ――


 そんな音がきこえた気がしました。しかも一回じゃないです。時々、喉を鳴らす音が継続的にきこえます。皆さん部屋の右側を占拠して整列してなるべく動かないように……としてくれてますけど、存在感が……ね。


「ちょっとシシ、ちゃんとプリオネも食べなさい」

「ええ~良いじゃんミラ。お願い」


 シシちゃんは相変わらずですね。普段から自分を一番よく見せようとするのがシシちゃんですけど、どうでも言い相手にはそんな気遣い一切しないのがシシちゃんです。これだけ知らない人が居るのに、自分を飾らないって事はこの人達は私達にとって不利益にはならないって事でしょうか?


 まあ不利益になるような人たちがここにいるなんて事は無いでしょうけどね。ミラお姉ちゃんに怒られた野菜を私のサラダに混ぜ込んでるシシちゃんに呆れながら、私は立ってる人たちを観察します。歳の頃は私達と同じくらいの子達が多いと思われます。けど一番多いのはシシちゃんと同じくらいの子達かな? 


 服装は皆さん同じシャツとズボンをはいてます。真ん中には『プチプリム』の文字。


(プチプリム?)


 やっぱり私達に関係あることの様。ミラお姉ちゃんは何かを知ってるのか、普通に食事してます。まあフィリーお姉ちゃんもですけど。フィリーお姉ちゃんは今日はまだ喋ってない。いつもなら柔らかい挨拶してくれるんだけど……何やらずっと黙々と食事してる。ああいうときのフィリーお姉ちゃんには触らない方が良いってコラン知ってます。


 とりあえず話しかけるなら、ミラお姉ちゃんですね。シシちゃんは多分私と同じで何もしならいがわです。さっきの会話からもそんな事いってましたしね。食事も一段落してきた頃、私はミラお姉ちゃんに話しかけます。


「ミラお姉ちゃん、そろそろ教えてください」

「そうだよ、いつまでもったいつける気?」


 シシちゃんが話しに入ってくると、途端におふざけみたいになるから、ちょっと黙ってて欲しい……とは流石に言えません。とりあえずシシちゃんの方には視線をやらない様にしましょう。


「そうだな。二人とも、今は忙しいかい?」


 何故か逆に質問してくるミラお姉ちゃん。けどそれはきっと意味ある事なんでしょう。私もシシちゃんも頷きました。最近はとても忙しいです。やる事もやらないとイケない事も増えましたからね。テレビやラジオもそうですけど、私達はアイドルだからライブの練習だって欠かしてません。そうなると一日ってなんでこんなに少ないんだろうって思います。


「そうか、まあ簡単に言うと、私達の負担を少しでも減らす為にラーゼ様か私達以外のグループを作ろうとしてるんだ」


 なるほど……つまりこの人達は、その候補生と言うことですね。私が納得してると、シシちゃんが立ち上がりました。うん、なんかシシちゃんが面倒そうな事を言いそうです。

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