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閑話 ある日のコランの日常

「皆それでは元気でね。続いては私達のライブ映像が流れるよ」

「はいカッート!」


 かん! と硬質な物をぶつけたみたいな音が聞こえて、それで私は気を抜きます。ふう……と息を吐いて、近付いてきたマネージャーさんからコップを受け取って喉に流し込む。コキュコキュ――と両手でコップを持って飲んでると、パシャパシャと何やら音が……


「もう~こんな所撮らないでください!」


 私はプンプンと怒りながらそういうよ。けど犬さんマネージャーは何故か鼻の下を伸ばしながらこう言います。


「いや~これも仕事なんだよ~。コランちゃんの可愛い姿をブログにアップしないといけないし~」

「もう! ちゃんと後で変な写真じゃないか、チェックしますからね」


 私はビシッとそう言って飲んだコップを返す。何やら私が口つけた部分をハアハア言いながら犬さんマネージャーが見てる。


「ダメですからね。ラーゼ様に言っちゃいますよ」

「わわ、わかってるよ~。もう、コランちゃんまで最近はなんか僕たちに厳しくない?」

「そんな事無いです、普通です」


 マネージャー達はラーゼ様に弱み握られてるし、この立場を絶対になくしたくないだろうから、そうそう変な事はしないはず……だけども誘惑はいっぱいあるようです。私達にとってなんでもない様な事とか、それこそ汚いと思うような物であっても、私達を好いてる人たちにとってはそうじゃないとか……この世は不思議です。


 私的にはゴミが再利用されるのなら、それはある意味良いのかな? って思わなくもないです。でもシシちゃんとかは本当にイヤっぽいけど。


「えーと、次はラジオだね」

「その次は確かテレビの収録でしたよね。ようやく皆と会えます」

「本当にコランちゃんは皆が好きだね」

「当然です。家族ですから」


 犬さんマネージャーは何当たり前の事を言ってるのかな? 


「家族か……うらやましいよ」

「何言ってるんですか? マネージャー達もコランにとっては家族ですよ?」

「コランちゃん……」


 何やら、小声で「天使」とか聞こえたけど、コランは天使なんかじゃないです。ただの人種なのに変な犬さんマネージャーです。最近はとても忙しいです。ラーゼ様が新しく、テレビとかいう放送を始めたからです。今までも定期的に街頭ビジョンで放送をするとかあったけど、そういうのじゃなくて、毎日の様に国の情報とか、私達の事とかを発信する放送してるのです。


 それもこれもエデンから、映像を簡単に映し出す機械が降りて来たからですね。あれで一家に一台普及して、皆テレビを見る習慣ができました。それは薄い板のような物で、壁に立てかけるだけで、周囲のマナを使って動くのです。操作は声でやります。


 それとオプションで私達の声で反応を返す機能もあります。通常はなんだかとっても硬質な声なんですけど、ラーゼ様が『絶対に儲かるから!』って力説して私達プリムローズの声をオプション販売してます。既にラーゼ様は「左うちわがやめられないわね」とか意味わかんないことをいってました。

 でも嬉しそうだから良かったです。


「あらコラン、大丈夫だって? へましてない?」


 なんだかとてもごちゃっとした服を着たシシちゃんが前から歩いてくる。シシちゃん……最近なんだかおかしな方向のファッションに目覚めた気がするよ。それ、間違ってないかな? 最新とか、私達が提示していかないと――とか言ってるけど、苦しいんだったら止めていいんだよ? っていってあげたい。

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