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R7

「同じような世界があるか……ですか?」


 翌日の放課後、私はいつもの建物の中で、沢山のお偉い学者さん達に逆に質問してた。実際集まってる学者さん達は外国人が多いから、通訳を介してる。皆さん、とても優秀な人たちだと聞いてる。なら何か有意義な事を教えてくれるはず。


「それはまさか、実は行った世界は一つではないと!?」

「「「おお!!」」


 なんか皆さん違う方向に勘違いしそうだ。違う、そういうことじゃないんだよ。これを明確に言うのはどうかと思ってたけど、これはちゃんと説明しないと誤解をうんだままにされそうだから、私は思ってる事をちゃんと言うことにした。


「聞いてください! 私が行ったことある世界は一つだけです。ただ……実は私は疑ってます。ここが本当に私が元いた世界なのかって」


 それを聞いた瞬間、会場内がざわめいた。まあそうだよね。だって彼等にとってはこここそが、世界である。別に私もここが幻か何かなんて言う気はない。ここはちゃんと一つの世界だろう。それは間違いない。けど……それと私が元いた世界なのかは別で、いや、別かも知れないって話だ。


「どうしてそのような事を? きっかけがあるんですよね?」


 四十過ぎの壮年のダンディーな外国のおじさんがそう言ってきた。もちろんある。だからそれも私は包み隠さずに話す。


「つまり、君の記憶にはその『みう』とかいう女性はいなかった。いや、少なくとも、テレビでは見なかったと言うことだね?」

「そうですね。記憶違いでもしてなければですけど」

「いくつか可能性はある……」


 そう言ってその人は一本ずつ指を立てていき説明してくれる。


「まずは、これは君も言ってる記憶違う。数年単位で別の世界に行ってたのならあり得る。それに向こうではどんどん元の世界の記憶がなくなっていんだろう? それを魔法で保存して防いだようだが、どこまでそれが信頼できるかもわからない」


 まあ確かに。


「もう一つは、その保存が完璧ではなくて、記憶の欠損が実はある……何か心当たりはないかい?」

「うーん、そう言われても……身近な所ではそこまで気になる事もないんですよね?」


 ちょっとクラスメイトの名前が思いだしづらかったりしてたが、それは私の記憶力の問題かもしれないし。


「さらにもう一つは……怒らないでほしいが、保存してた記憶の改ざんとか」

「でもそれってやる意味ないですよね?」

「それは確かにそうだね」


 実はイタズラでラーゼの奴がやってたとかあり得そうではある。そういうことする奴だし。でも反応も見れないのに、下手な労力を使いたがらないのも奴だ。可能性は低そう。


「実際……世界とはどういう風にあるんでしょうか?」

「それは……我々科学者でも答えが難しい問題だね」

「ですよね……」


 星を一つの世界とみるのなら、簡単だ。星事に世界がある。それでいい。だからあの世界も全く別の星だった……とかでも別にいい。でも……私は元の時間軸に戻ってきてるんだよね。もしも、星という物理的な距離があるのなら、私は何光年とかいう距離を移動してる事になる。それで前の時間に戻ってるんだよ? 

 はっきり言って私の頭ではついていけない。


「けど君のおかげで、色々と進んだのも確かだよ。異世界の証明。それに時間の超越という事が出来る事がわがたんだ。それはとても大きな事だ。ここが君の世界かは正直わからないが、我々は君の味方だよ」

「皆さん……」


 なかなかに良いこと言ってるけど、私は見た目通りの子供ではない。まあ実年齢的に既に高校生でもないけどさ。私は向こうで沢山もまれたのだ。この言葉がそのままの意味じゃないことくらいわかる。そうやる事が、この人達にとっても利益になるからだってわかってる。


 けど、それならこっちも利用するだけ。それにここが私の世界じゃなかったら、この世界の私はどこにって疑問もある。ここには私は私しかいない。この世界で小清水亜美は私しかいないのだ。

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