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R6

 楽屋で私は本を読んでるいる。出演者への挨拶も済ませてマネージャーに収録の合間に買ってきて貰った本だ。けどよくわからない。ネットで調べてみても、ますますよくわからない。というか、これは自分で調べる様な事ではないのではないだろうか? 明日、どうせまた私の話を聞くためにお偉い人たちが集まるんだから、そこで聞いた方がきっといいよね? 


 私は時間の概念とかなんとか、そんなの知らないし。一からそんなの勉強なんてする気はない。なら詳しい人に聞けばいいじゃない……と言うことだ。


「何か不安があるんですか亜子様?」

「不安っていうか、疑いっていうか……」

「疑い……ですか?」

「ここは本当に私の世界なのかなって……」


 ポツリと呟いたそんな言葉に、マネージャーは雷に打たれたようにのけぞって固まった。この人……美人なのに面白いな~。


「そ、それは向こうの世界に戻りたいって事ですか!!」

「ええ?」


 凄い勢いで彼女は私の肩を掴んでくる。その目には涙まで浮かんでる。なんでこの人がここまで私に執着するのか……ちょっとわからない。はっきり言って劇的な何かってなかったんだよね。洗脳でもされてるんじゃないかって位だから、正直怖い。まあ害はないんだけど……ないよね? ないかな? 結構働かされてる気はする。


「私は……亜子様がいないこの世界なんて……そうだ! 連れて行ってください!!」

「何言ってるの!?」


 訳がわからないよ。そもそも向こうに行く手段なんてない。それに私の行ってる世界ってのは向こうではないんだ。そこら辺はっきりさせたほうが良いよね。


「あのですね。私は別に向こうの世界に戻りたいわけじゃないです」

「ぼんどうに?」


 涙を流してぐちゃぐちゃになってるせいで言葉が聞き取りづらい。この人、私にマネージャーとか必要なくなったらどうなるんだろうか? まあ実は別にこの人芸能のマネージャーな訳じゃないけど……でも今は私がただ物珍しいだけだ。それだけで、番組からのオファーとかがある。でもそれって一時的だよね。長く続いても半年か一年。

 まあ異世界の研究はずっと続くと思う。てもそれにもいつまでも私が必要かというと……たぶんそうじゃない。たぶんね。そうなるとこの人は……


「本当です。あんな危険な世界、二度と行きたくないですから」


 これは本心だ。やっぱり平穏が一番だと思う。私は帰ってこれて良かったと思ってる。へたすれば、私は向こうで死んでたし。もう一度いけるとなっても、たぶん私は行かないだろう。


「ぞれでば……ざっぎのば……」


 とりあえず泣きやんて貰っていいかな? こんな場面、誰かにみられたりしたら……


「あのそろそろ本番で――」


 ADの人がそう言いに来て、この場面をバッチリとみた。そしてそっと閉じていく。絶対に私がマネージャーをいびってるって追われたよ!! 私は印象にはとっても気をつけてたのに!! 大丈夫だろうか? さっきのADさんは男の人だったし、もしかしたら口が堅い人かもしれない。それに期待しよう。

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