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R2

 放課後、思いっきり伸びをして授業の終わりを堪能する。こっちに戻ってきた直後とか、直ぐには学校に通うことなんか出来なかったから実際、再び学校に通えるようになったのも最近なんだよね。私は実質向こうの世界で三年分くらい成長してる。

 三年と言う時間は長くて、最初学校にもどって来れただけで感動したものだ。そして私はこれからの人生の為にもちゃんと勉強を頑張ろうと誓った。向こうに召される前はただなんとなく、将来為に必要だから……でもそんなの実感ないから、適当にやってた。


 まあそれでもそこまで酷い成績でもなかったし、別段満足してた訳だ。けど私は向こうで死と隣り合わせの戦場を駆けてきた。私は必死に生きる術を身につけたのだ。この国で一体どれだけの人がそれが出来てるだろうか? この平和な国で必死に生きる。それって結構難しい事だと思う。


 でもこうやって戻ってこれたのなら、こっちでも頑張ってちゃんと生きていかなきゃって思いがある。だから最初は授業も気合いバリバリでやってたんだけど……


(こっちの授業は退屈過ぎる……)


 まあ向こうの授業も座学は退屈ではあった。軍の訓練だったし、体動かす方が多かったのもある。最初はそれがイヤでイヤでたまらなかった。なにせ私はそんなに運動神経良くないし。けど、いつの間にか、じっとしてるとウズウズする体にされてたみたいだ。


 一時間、いや五十分だっけ? 座ってノート取って、喋ってる言葉を聞く。それが放課後まで続くと、体が固まってしまう。


 別に一・二時間は問題ない。けど、向こうでは座学よりも体動かす授業が多かったのだ。だから体育のない日はヤバい。


「それじゃあ部活行くね亜子ちゃん」

「うん、いってらっしゃい」


 スミレちゃんにそう挨拶をする。この体の凝りとか部活をして発散するという手もあった。向こうに行く前は部活なんて縁のないものだと思ってたが、今では体を動かす手段としてはいいかも……と思ってる。まあ入れないだけど。


 何故か家のクラスのハケはすこぶる良くて、放課後になると蜘蛛の子を散らす様に去って行く。既に教室には私しかいない。まあその理由は知ってる。私のせいだ。私は実はぼっちなのだ。話しかけてくれるのはスミレちゃんしかいない。

 みんな私の事を知ってるからね。それに最初が良くなかった。私は地味だし、今までずっと地味目なポジションで自分を守ってきた。けど、こっちに帰ってきたその日に有名になって、一気に世間の話題は私一色。そうなると、面白くない連中がいる。


 いままでクラスカースト上位だった連中である。主に女の。そいつら私に護衛がついてるとわかりながも絡んできた。多分、そのときご自慢の彼氏君や男子数人を連れてたから強気になってたんだろう。私だって別に目立つのイヤだから穏便に済ます筈だったんだよ? 


 けど……ね。向こうが髪の毛掴んで引っ張ってきたからさ、学生の喧嘩程度と思ってた護衛の皆さんが色々な所から出てきて、彼らは強制連行されて行きました。そしてこのクラスに……いや学校に戻ってくることはなかったのです。


 これでその噂が一気に広がってこれだよ。悲しい……私は向こうにいった事で変われたと思ってる。だからささやかだけど、充実したスクールライフを今度こそって思ってたのに……その夢は登校して直ぐに失われました。

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