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#91

「はあはあ……」


 胸が苦しい。体中の力が暴れだしそう。放出したはずなのに……その感じがぜんぜん無かった。これがダムの弊害か……溜めすぎた力は一度の放出程度ではなくならない。それに、流れてくる回廊も太くなってるような? 制限されてた道が解放されると、大量の力の流れに耐えられずにこうなるの? 視界がボヤける。私……パンクしそう。

 大地と空が割れて、普通は見えないマナが湧き上がり、落ちている。ここで私がもう一度力を開放すると、この世界終わっちゃうかもしれない。それは流石に不味い。不味いけど……

 

『まさかアレで死なないんて反則だよ。楽しいけど、危険だよね。ん?』


 天皇と思われる子供の声が響いてるが、そんなのどうでも良かった。だってこの力の流れを私自身、どうにも出来ない。前にもこんなことあったかも。二年眠ってて起きた時も、力を抑える事が出来なかった。あの時はどうしたっけ? なんか吐き出した様な……いや無理。あれは誰も見てなかったからノーカンなんだもん。超絶美少女な私が吐き出すとかないから。

 まあ吐いたのメチャクチャ綺麗だったけどね。あれって今思うとどうなったんだろうか? まあ今はそれはいい。この力をどうにかしないとマジで世界は終了だよ。

 

『何……その力の形は……まるで……』

「さっきから頭に響くのよアンタのその声!」


 こっちは世界を救ってあげようと必死なのに、甲高い声でわめきやがって。だからどこかのそいつに『死ね』と念じてやった。するとあら不思議、声は聞こえなくなった。実際死んだかは知らない。けど煩い声がなくなったから良し。少しは放出出来た? いや、雀の涙程も変わらない。そもそも過剰供給され続けてるのに、一瞬の力の行使なんて意味ないのは道理だ。

 

「ラーゼ!」

「ラーゼ様!」

「どうしちゃったのよ……」


 皆が不安がってる。兵器っ子も私から遠ざかる。私の周囲にマナが大量に集まってきてるしね。中も外も力で一杯。こんな周り中濃いマナで満ちてたら、私の力が更に凶悪化しそう。ほんとに世界の終わりだよ。

 

「逃げ場なんて……ないかもだけど……逃げた方が良いかもよ」

「何を言ってるんですか。私達はもう貴女なしでは生きられない。どこまでも一緒ですよ」


 蛇の癖にいってくれるじゃん。ちょっと……まあちょっとだけだけど嬉しかったよ。兵器っ子だけはなんか表情違うけど、空気読んで下手な事は言わなかった。みんな一緒ってわけね。それならなんとか出来そうな気も――

 

「うっ……もう無理かも」


 私のいつも輝いてる身体が、比喩ではなく本当に輝いてる。止まらないエネルギーの暴走。この大陸が、星が消滅するかも知れない時が来た。新しく獣王になったあいつの花道邪魔しちゃったな。もっともっとやりたいことあったし、これからだったのに……これはバッドエンドなのだろうか? そう思ってると落雷や、竜巻渦巻く上空になにかが見えた。

 それは首都の方面からすごい速さで向かってくる。

 

「あれは……アンティカ」


 三機のアンティカがこちらに向かってきてる。そして先頭を行く赤いプロト・ゼロから声がした。

 

「こっちはまだ何もわかんないのに、アンタだけ死ぬなんて許さないわよ!!」


 そう言ってプロト・ゼロがその装甲を輝かせて、赤い陣を展開させる。プロト・ゼロを中心に描かれる不思議な陣。けどそれがいきなり崩れた。そしてプロト・ゼロの装甲もはがれる。

 

「ちょっ!? 保たない! アンタもどうにかしてよ!!」


 そんな事言われても……いや、何やら身体が楽だ。プロト・ゼロは魔法の類を消し去るんだっけ? マナを完全に消すなんてのは不可能なのかもしれないけど、プロト・ゼロは多分マナに干渉出来るんだろう。だから私や周囲のマナが薄くなってる。これなら! 私は自身の内側へと干渉するために眼をとじる。そしていつもどおりの回廊を再び構築した。

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