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Ω173

「大丈夫~コランちゃん?」

「うん、私はだいじょう――」


 ぶ――と言おうとしてたら膝から力が抜けてその場にひざまずいてしまいました。思ってたよりもずっと消耗してたみたい。けどそれはきっとシシちゃんだってミラお姉ちゃんだって一緒の筈だ。なのに二人は残って、まだ歌ってるんだよね。


 私はステージを振り返る。ここからはすでに直接二人を見ることは出来ない。けど、その明るさは感じるし、歌声は聞こえる。二人ともさっきよりも力強い歌声で歌ってる。ミラお姉ちゃんはいつもそうだけど、シシちゃんはなるべく要領よくってよく言ってる。


 そのシシちゃんも限界を超えて力を振り絞ってるんだなってわかる。体がステージに戻ろうとしたとき、フィリーお姉ちゃんが私を引き留めました。


「コランちゃん~私たちは休む。いいわね~」

「…………うん」


 フィリーお姉ちゃんはいつも笑顔だ。そしてゆったりとポワポワとした雰囲気を崩すことはないです。けど、時々こうやって絶対に逆らったらだめって思わされるときがあるの。なんでかはわかんない。きっと私たちの事を本気で思ってる――その気持ちが伝わってくるんだよね。


「大丈夫ですか!」


 そう言ってマネージャーさんが来る。犬さんだ。なんで犬かは私的にはよくわかんないけど、犬一さんに犬兄さんに犬さんなのだ。今向かってきたのは犬さんだ。彼は私を支えようとしてくれたけど、それをフィリーお姉ちゃんが制する。


「コランちゃんは~私が運ぶからいいわよ~。それよりも貴方は~部屋にマッサージ師とかいろいろと拾うが速攻でとれる物でも大至急~」


 パンパンと手をたたいてそういうフィリーお姉ちゃん。するとビシッと背筋を伸ばして犬さんは敬礼とともに走り去っていく。その姿を見てたら確かに犬っぽいよね……と思う。それにしてもフィリーお姉ちゃんはあの人たちが私たちへ触ろうとするの嫌がるよね。どうしてだろうか?

 男の人の方が力強いし、フィリーお姉ちゃんだって疲れてる筈だ。なら任せた方がいいと思うけど……でも私も他の誰かよりもプリムローズの皆がいいのはその通りです。


 だってプリムローズの皆は家族だから。


「さあ~二人の分までゆっくりしましょう」

「うん」


 私たちは部屋目指して歩き出す。裏ではスタッフの人たちが慌ただしく、いろいろとやってる。ライブ中はステージに夢中だから気づかないけど、こんなに沢山の人たちが私たちを支えてくれてる。それにもちょっとだけ元気をもらうよ。皆さん私たちの事を心配してくれるし……暖かい。


 そんな事を思ってる時だった。私の腰に差してるマイクが反応したのは。

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