Ω140
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
カタヤ様が凄い速さでアラガタと攻防を繰り広げてる。今気づいたが、どうやらアラガタの分離させて操ってるドリル……あれはこの赤いマナが嫌いなようだ。何故かマナの範囲に入ってこない。私がアラガタと戦ってた時は普通に二人が抑えてくれてたと思ったんだが、今あれの相手をしてるのはカンガタ一人、四つあるドリルを相手に出来るとはおもえない。
けどドリルの邪魔が入らないし、実際ドリルは周囲にはいる。けど、私の赤いマナの範囲に入ろうとすると離れるのをモニター越しに確認してる。確実に私の赤いマナはあのドリルを遠ざけてる。けどあのドリルに効くなら、アラガタにも聞いてよさげなものだが……
「はははは!! その程度か虫けらあああああああああああああ!!」
本体であるアラガタは元気いっぱいである。ファーストが振るう剣は超振動を繰り返して切れぬものはないとか聞いてたが、どうやらアラガタの装甲を切るには至ってない。傷がついてるが、直ぐにその傷もなくなる。やっぱりアイツ、星からマナの供給を受けてる。
そうじゃないと説明できない。このままじゃじり貧だ。いやそうでもない? だってあの星にはマナの循環がない。今マナを生み出してるのは、たぶんあの時みた生贄の巫女だろう。あれでずっとマナを生み出せるなのら、私達の星を狙う理由なんてない。
あれは有限だ。そしてあれが尽きればアラガタに回すマナはなくなるのでは? けどそれがいつかなんてわからないか。取り合えず私はカタヤ様の後ろでマナを撒き続けるしかない。どうやら改良されてかなり散布量も上がったようだしまだいける。
流石に私の時みたいにその場にとどまって……という動きをしてくれないから、マナの濃度が上がらないのが問題だけど、ドリルの邪魔が入らないだけでもありがたい筈だ。
「ん? 何かある? カタヤ様、そっちはダメです!!」
「つ――よし!!」
私はマナを散布してる場所は正確に把握できる。ある意味このマナはレーダーにもなるんだ。そのマナが異物を捕えてる。さっきまではなかった。多分アラガタが移動中にでも撒いておいたんだろう。けど残念だったね。このマナにこんな能力があるとは思わなかっただろう。
「避けようが当たろうが関係などない!」
そう言ってアラガタの奴がそれを爆発させる。爆発といっても大きな爆発は宇宙空間では怒らない。けど、何やら青い円状の何かか広がった。それは衝撃の塊なのか避けた機体がビリビリと揺れる。けどそれだけだ……とか思ってたら、散布してたマナが拡散されてた。そしてこっちにドリルがくる。
「まずい、カタヤ様と分断された!?」
私は急いで周囲の濃度を上げる為にマナを出す。けどその瞬間背中に衝撃が走った。
「ぐうううう……」
どうやら後ろからもつっこれまたようだ。後ろのユニットがかなり持ってかれた。
「散布効率が四十パーセントダウンです」
「ここにきて……」
武器もない今、これはピンチだ。カタヤ様のもとへ行く前に私がやられかねない。そんなことを思ってるとレーダーに何やら反応があった。そしてメッセージも来てる。
「ゼウスからです。今から星への対抗策を取る。必要となる装備とアイテムを出しとくからうまくやれ――だそうね」
つまりはあっちはあっちで忙しいから、どうにか私達だけで頑張れって事らしい。けど装備とアイテムがあるのなら……まだ希望はある。それにゼウスがあの星をどうにかできれば、アラガタへの勝機も見えるはずだ。まだだ……こんな所で負けてられない。
私はこの戦いを通して、本当の英雄へとなるんだ!!