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Ω138

「今……」


 ユングの声が聞こえた気がした。けど……そんなことはあり得ない。なぜならユングは……ユングは死んだからだ。ユングは私達の為に犠牲になった。それは間違いなくて、あの状況から生きてるなんてことは思えない。けど確かに聞こえて……そして、アラガタの鎧の顔の部分が開かれるとそこには――


「クーシャネルラ……さん」

「ユング!?」


 ――まさにユングの顔がそこにあった。いや、縮尺的におかしいとはわかってる。なにせアラガタの奴はでかい。流石にアンティカよりも小さいが、一回りくらいだ。普通の人種なんかよりはでかい。それにユングは子供だった。あんな大きな顔なわけない。


「クリエイト、冷静になってください!!」


 ゼロの言葉で私は勢いを取り戻した。こういう時、叱咤してくれる存在は大切だ。そう、ここにユングかいるわない。あれは私を惑わせるためにアラガタの奴が意地汚いことをしただけだ。なんでアラガタの奴がユングの事を知ってるのかとか疑問はあるが、あいつはあの星の神みたいなやつだろう。なら、どっかから私達を見てたとしてもおかしくない。


 だから自分が危なくなったから、私達に効果的な存在を引っ張り出してきたんだろう。つまりこれはピンチを脱するための姑息な手段だ。


「ぶち壊す! 死んだものを侮辱するなああああああああああああああああ!!」


 ゼロの鞭が周囲のマナの影響でさらに禍々しく形を変えていた。相手はこの赤いマナで弱体化させ、そしてこっちはこのマナで強化される。それがゼロの戦い方、サポートの仕方だ。鞭がクロスしてアラガタにあたり、奴の装甲を削っていく。


「揺れないか。とっとく意味はなかったな」


 それは別段焦ったような声でもなかった。そしてユングの顔を見せてた顔の部分を閉じ、その目を赤く光らせる。両手をもとに戻にして、徐に鞭を手で握る。その瞬間、鞭の動きがピタッと止まった。


「なっ!?」


 勢いよく奴の装甲を削ってた攻撃だ。下手に触ると腕が吹っ飛んでてもおかしくない。けど、そんな事にはなりえずに、寧ろなんかちょっとウザったい紐でも掴んで止めるかのように止められた。


(まさか、今までのは演技?)


 そう思ってしまうくらいには簡単に止められた。いや、けど、奴の体には確かに私が与えたダメージの跡がある。効いてなかったわけじゃない。私は一つの機能を使う。


「おっ」


 その機能で鞭の関節部分がばらけた。手に含まれてる部分はどうしようもないが、これでもう一度連結させて私は攻撃をする。


「ふん!!」


 向かわせた鞭が拳一発で破壊される。さらに――


「つっ!? なにこれ!!」


 ――機体が後方へとふっとばされる。激しい衝撃がコクピット内までも伝わってきた。まるで衝撃波でもあったかの様な衝撃。宇宙空間なんだが……力そのものをぶつけられたのかも。なんとか態勢を整える。


「遅い! 近づいたのは間違いだったな」


 再び変形した銃口がこっちを向いてる。まずい!! 私は射線から逃れる度にブースターを吹かせた。

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