Ω125
私達はついに……ついに大地の……世界の呪縛から解き放たれる事に成功した。第一宇宙速度を超えて私達は大気圏を突破する。その時に力を振り絞ってマナの膜を作っておく。これで宇宙空間でも大丈夫だろう。世界樹の根は流石に宇宙空間までは追ってこれない。
あれは星を生かし、星に生かされてる存在だからだ。追いついてくるとしたら一人だろう。けど、それよりも……だ。
(ラーゼ!!)
頭に響く声。宇宙空間は空気がないから振動で声を伝える……なんてことはできない。映画とかでドカンドカンやってるが、実際は宇宙ではそんな迫力あるバトルは起きえない。だから声を伝える手段も発する以外で必要で、まあ、別に宇宙を想定してた訳じゃない。マナのチャンネルを大雑把に合わせて電話的なのは開発してたのだ。
これの良い所は電話線とか引く必要がないからだ。なぜなら世界にマナは満ちているから。まあ宇宙にはマナは満ちてないから本当ならこれも難しいだが、目の前の黄金のアンティカはマナを振りまいてるから、それに乗せてるんだろう。そのせいで、なんか受信状態ちょっと悪くて、古いラジオの感じが……
まあそれよりもこいつらがここにいるって事が大事だ。
(カタヤ達、来たんだ)
(当たり前だ! メッセージが届いてから大騒ぎだったんだぞ!!)
(それよりカタヤ、ラーゼ様をゼウスに)
(おう……そうだな……えっと……)
アンティカは一機ではなく二機来てる。黄金と青い奴。まあ言わずとしれたコンビだ。アンティカの動きが止まる。まあ私の事を包んでるのが何か困惑してるんだろう。なにせ縮小したアンティカみたいな存在だからねカンガタは。けど本当はカンガタとかアラガタを大きくして人の武装にしたのがアンティカの様な気がする。
「いけ、足手まといだ。さっさと力を取り戻せ。我らの星の邪魔がなければ、貴様ならこの場所にもマナを引っ張ってこれるだろう」
何故かカンガタの声は普通に聞こえた。何かやってるんだろうが、そこは重要じゃない。カンガタは私とクリエイトを放り出す。そしてさっき出てきた星をみる。その星は青い訳なく、灰色と黄土色でおおわれてる。まあ世界樹の根の籠なんだけど……なんか毛糸の玉みたいだなって思った。
(ラーゼ、あれは……)
(あれは仲間……みたいなものよ。まだ終わってないわ。この星、ぶっ壊すわよ)
(なっ!? そんな事どうやって……俺たちの目的はお前の救出だぞ)
私の……ね。どうやらクリエイト達は救助の対象に含まれてないらしい。優先度的に仕方ないと言えば仕方ないけどね。取り合えず私達を回収したカタヤはゼウスへと向かう。このまま私達の星へ帰るなんて出来ない。だってもうあの星には後がない筈だ。ならここで決着をつけるしかない。
だからまずはゼウスで考えを伝えないとね。それから私にした事を倍返しにしてやろう。




