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Ω124

 世界樹の根が空で組み合わさって密度を上げていく。さしずめ、私達を逃さない為の籠を編んでるかの様。その籠はどんどんと隙間を狭めていってる。きっと厚さもどんどんと厚くなっていってるんだろう。悠長にしてる場合じゃない。


「このままじゃ不味くない?あんたもドリルとか出せないの?」


 ドリルがあればぶち破れそうだけど、このままじゃ受け止められるかもしれない。アラガタがあれだけドリル使ってたんなら元は同じ存在であるカンガタも使えてもおかしくない。


「マナがな……」


 確かに私達はアラガタのあのブラックホールをはじき返すのにありったけのマナを使ってしまった。けどここで絞り出せないとこの星から脱出することは出来ない。私は魂の回廊を通じてゼルに呼びかける。


(ゼル!)

(わかってるかラーゼ? 貴様、その星に来てかなり無理してるぞ)

(ふん、いい女は周囲を支える物なのよ。いいから寄越しなさい)

(しょうがない奴だ)


 私は魂の回廊を通じてマナを受け取る。それをカンガタに流してやる。


「使いなさい!」

「よし!!」


 何とか腕を一つ再生させたカンガタは直ぐにその腕を組みかえる。かといってアラガタの様にドリルが生えてくるにはマナが足りなかったみたい。指をピンと伸ばしてそれをそれを回転。疑似的なドリルを再現するにとどまった。けど、これでも突破力は上がった筈だ。更にブースターをふかして、私達の周囲に空気との摩擦で炎が生み出される。


 まさに空に昇る流れ星状態だ。


「いっけええええええええ!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 気合を入れてカンガタのドリルが根へと当たる。最初は順調だった。ドリルにした事が功を奏したんだ。根をぶち抜いてカンガタは進む。けど幾ら厚くなってるんだって思った。しかも多分こうしてる間にも根が集まってきてる。空が……宇宙が見えない。


 厚い世界樹の籠が私達を逃がすまいと立ちふさがってる。最初の勢いがどんどんと落ちていってる。まずい……とまったらおわりだ。ふたたび勢いを出す為にいったん下がるなんて出来ない。そんな事をしたらアラガタまで来るかもしれない。


「カンガタ! もっと気合入れなさいよ!」

「やってる!! 突き抜けろおおおおおおお!!」


 更にブースターをふかして、根を引っ張る。ぶちぶちと聞こえるけど、僅かに見えた外もすぐに見えなくなる。ここまでしつこいなんて……その時だ。何か外側から衝撃が聞こえる? 断続的なその音、何かが私達を援護してる? 内と外からの攻撃。誰かはわからないが、ここはありがたく思おう。


「カァァァァンガァァタアアアアア!!」


 地上のほうから聞こえるそんな声。アラガタだ。けど……いける! 


「いけええええええええええええええええええ!!」


 外からの衝撃で光が見えた。根が焦げる様な匂いがした。そして次の瞬間、カンガタの腕が世界樹の根を突き破り私達は成層圏へと昇る。

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