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Ω104

 アラガタの八本の腕が迫る。カンガタはその腕に応戦するけど、物理的に腕の数が違うんだ。因みに世界樹の根はその気になればいつでも引きちぎれたみたい。こちらの腕はは四本で、向こうは八本。しかも私とラーゼ様を抱える事に一本実は使ってる。だから実際は三本と八本だ。圧倒的にカンガタがアラガタよりも強いのなら、それでもどうにかなっただろう。けど……


「ぐああああああああああ!!」


 カンガタは後方に吹き飛ぶ。そこにアラガタが追撃に迫る。そのスピードは私の目にはとらえきれない。というか、振り落とされない様にしがみつくのがやっとだ。私とラーゼ様は声も出せずに必死にしがみついてる。耳に届くのは激しい音とともにカンガタが壊れてく破壊音。


 絶対的に不味いよこれ。私達が足を引っ張ってる。


「今度こそ貴様を消し去ってやろう!!」


 その言葉と共にアラガタの腕がガチャガチャと凶悪に様変わりしていく。その八本の腕は更に大きくなりそして凶悪なドリルが現れる。それが高速回転して嫌な音が耳に障る。あんなので攻撃されたら不味いなんてものじゃない。ばらばらになってしまう。


 けど私に出来る事なんて何もない。私はちっぽけな人種だ。なるべく邪魔にならない様にするしか……そんなことを思って祈ってると、直ぐ近くから暖かな温もりを感じた。それはラーゼ様だ。彼女の体が輝いてる。それはマナの輝き。ラーゼ様はいうよ。


「アンタがやられるとこっちも困るのよ!!」

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 ラーゼ様の光がカンガタをも包んでいく。それに伴い、カンガタの背後の腕が崩れ去った。私とラーゼ様は空中に投げ出されたが、何かに……そうなにかに支えられる。


「かつてのマナなど、そう簡単に馴染む物か!!」

「だが馴染ませる!! もっとよこせ!!」


 どうやらマナが合わないせいで背後の腕が崩れたみたいだ。でも無理矢理馴染ませる為にカンガタは更なるマナをラーゼ様に要求してる。って事は今私達を包んでるのは不完全な腕という事だろうか? だんだんとその輪郭ははっきりとして来てる様な気がするが、それでも間に合いそうもない。


「こっちも気合入れてるんだから、そっちも気合見せなさい!!」


 ラーゼ様が額に汗を流しながらそういうよ。あんなラーゼ様は初めてみた。僅かに視界に何か――がみえる。それを動かしてカンガタは向かってくるドリルをとめる。実際止まるんだ……とおもった。何かがぶつかり合ってる音が響き、火花が散っている。


「おい、そこの矮小な人種よ」


 何やらカンガタがそんな事を言いだした。どっち? ここには人種が二人いるけど? とか思ったが、ラーゼ様は反応しない。自分じゃないと思ってるのかな?

 

「私ですか?」


 私は恐る恐るそういった。


「当然だ。その女は神の器だろう。人種は貴様だけだ」


 ええ!? ラーゼ様って人種じゃなかったの? まあ確かに人種にしては規格外が過ぎるが。でも考えてみると以外でもなんでもないな。それよりもカンガタが私に何故声をかけてきたのかだ。


「何か御用でしょうか?」

「我と神の器でアラガタと世界樹をとめる。その間に貴様が装置を起動するのだ!」

「ええっとどうやって?」

「これを使え」


 そういってカンガタは私の腕に何やら手甲の様な物をつけた。綺麗な奴だ。ごつくない。こんな美的センスがあったのかこいつ。


「それには起動コードと必要なマナが込めてある。触れるだけでいい。それに人種の腕よりも高性能だぞ。ではいけ!」

「ひえええええええええ!!」


 ちょっと! いきなりすぎるよ! 投げ捨てるってひどくない? まあ私に向かってくる攻撃も根もないけどね! けど高さが結構ある。このままじゃ私はぺしゃんこだしラーゼ様の許可とか……いやいってる場合じゃないか。でもこれだけはいわせてもらおう。


「ラーゼ様を傷つけたら許さないからあああああああ!」


 とりあえず言いたい事はいった。私は自分のやるべきことを見つめる事にする。

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