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Ω100

「あれ?」


 私はいつまでも来ない死を訝しんでそんな声をあげた。すると私の頬をむぎゅッとする小さな手の感触が伝わってくる。


「なにやってるのよ? 勝手に生きる事を諦めるなんて許さないわよ? それにまだ死んでもらっちゃ私が困る。こんな所で一人になっても暇じゃない」


 そんな事? とか思ったが、これはもしかしたらラーゼ様なりの照れ隠しなのかもしれないとおもった。周囲を見ると、私とラーゼ様を光の膜が覆ってる。それが障害物から私達を守ってるみたいだ。向かってくる瓦礫がこの光の膜に触れると何やらあらぬ方向へと飛んでいってる。弾力でもあるんだろうか? 


「って、ラーゼ様この力はもしかして――」

「ん? 勿論私のマナを使ってるわよ」


 やっぱり。だってこの星のマナを使うと事象は黒い光と共に現れる。けど、今私達を守ってるマナの光はとても綺麗な色に輝いてる。それこそラーゼ様を輝かせる光の様に……でもこんな派手に力を使ったという事は……


「やっぱり!!」


 世界樹の根が分厚い壁など関係ない――といわんばかりにあらわれた。おかげで瓦礫の量が増したし、上からは大量の土が降ってきて視界が一気に悪くなった。すると見えない視界のなか、聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「世界樹よ、俺は今復活したぞ!!」


 そして再びデカい音が響き、衝撃がこっちまでもきた。私達はラーゼ様の力のおかげでなんとか無事だったが、今の衝撃で瓦礫は全部下の方へと追いやられたみたいだ。私達もその中にいる訳だが……そんな瓦礫よりも今は車長さんを食らった鎧だ。


 いや、あれがそれなのか……じっさいにはこの眼でみても自信はない。だってなんか……鎧に鎧が生えてる。何を言ってるのかわからないかもしれないが、そうなのだ。丸い何かで囲まれてる鎧はさっきまでの鎧だ。その背中側から、デカい黄金の鎧の上半身がまとわりついてる。しかもなんか腕が四本ある。


 それは世界樹の根を握りそしてひねりつぶしてる。けど次々と根はやってくる。尽きる事はない。なぜなら世界樹はこの星その物だからだ。そしてその狙いは奴じゃない。こっちに向かってくる。それはそうか、なにせ元々狙われてたのはラーゼ様だ。


 あいつはイレギュラーであって優先する相手じゃない。優先順位が高いのはあくまでラーゼ様。この無重力の空間では素早く動く事は出来ない。なのに根はいつものスピードだ。多分繋がってるからだろう。私達は個をこの空間に囚われてるから、無重力の影響をモロに受けてるが、世界樹の根はあの大きさでも全体からみた末端だ。動いてる所はあくまで一部で動きの支点となりうる部分は他にあるから無重力の影響なんて受けてないんだろう。


 逃げ切る事は難しい。今度こそダメか? けどラーゼ様は何やらマナを収束してる。でもそれを撃つ前に根が動きを止める。まるで何かに絡めとられたみたいに止まった。動こうとしてるのか、震えてるがそれを許さない存在がいた。

 

「なるほど、まだこの星は生贄を求めるか」


 その言葉と共に四本の腕が上へと持ち上がる。その瞬間、襲い来てた根がバラバラに切り刻まれた。一体何が? わからない。わからないけど、あれはもしかしたら味方なのだろうか?

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