Ω91
私と車長さんは何とか鎧を見つけてラーゼ様の所へと戻る。色々と探したんだが、なんと堂々と一階にかざってあった。そのせいで余計な所まで探して回ったよ。だって滅茶苦茶堂々と飾ってあるんだもん。観賞用か何かだと思うじゃん。
それにここの前の所の鎧は無造作だったし、鍵として使ってた奴なんて普通に座ってたんだよ? そこらに生きてる様な鎧がいておかしくない……とおもうのはおかしなことじゃないだろう。けど実際はこの鎧以外は見つけられなかったんだ。もしかしたらここの住人でないと入れない様なところがあったのかもしれない。色々と壁もコンコンと叩いて空洞がないかとか調べてたんだ。勿論床もやった。すると有りそうな所はあったんだ。
けど開ける事は叶わなかった。だから自分たちがいける所で探すと、これしか残らなかったんだ。そんな鎧を二人で抱えてえっほらこっさらと運んでる。ハッキリ言おう、とても重い。本当は腕だけでいいじゃないか? って思った。だって前のも腕だけ使ってたし、全身なんていらないだろう。
けどこれは飾ってあったんだ。全てきちんと組みあわせて形を保ってた。どうにかしてバラバラに出来る筈だと私と車長さんは思って色々とやったよ? けど……むりだったんだ。だからこうやって土台事運ぶ羽目になってる。
「はあはあ……持って……参りました……」
「ご苦労……そんな全身いらないわよ?」
でしょうね! 言い返したいが、相手が相手だし、そもそも息が激しくなっててそれどころじゃない。これ絶対数十キロはあるからね。まずはこの苦労を頑張りとして見て頂きたい。まあ偉い人はそういう物だけど。
「ずみば……せん……これ……外せなくて」
「外せないの?」
床に座ってくつろいでた様なラーゼ様が立ち上がる。そして近づいて渡したが運んできた鎧を見て、手を伸ばす。鎧は立ってるからラーゼ様が手を伸ばしたって兜までは届かない。けどまあ、手の部分には届くし、ラーゼ様はそこにしか様がないし当然そこに手を伸ばす。
「んっんっ!」
ハッキリ言おう。可愛い。大きな手を引っ張る少女はそれだけで可愛く見えるが、ラーゼ様は本当に可愛い。まあでもこれで私達の頑張りがわかって貰えただろう。
「どうですか? 取れないですよね?」
息も整ったので、四苦八苦してるラーゼ様に声をかける。
「マナを通せばどうにかなるかも。そういうギミックかもしれないし」
そういってラーゼ様は黒いマナを集めた。この星のマナだ。それを私達か運んできた灰色の鎧に打ち出した。




