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Ω68

 再び空に昇った列車が何回か旋回して、穴へと突っ込む。私達はそれぞれ固定されてる物へと捕まって衝撃に備える。実際中に入ったらぐちゃぐちゃになってるとか、色々と最悪な予想はある。この星の奴は必要だからラーゼ様を連れてきたと言ってたが、それはブラフで実はこれで殺す気なのかもしれない。


 私達には確かめる術なんてないんだ。誰かが先に飛びこむって事も考えたが、そんな事はラーゼ様が許さなかった。ラーゼ様は慈悲深いらしい。ロープでも腰に縛ってあの穴を通って引っ張って貰えば黒い幕の向こうもわかって安全かどうかもわかる一石二鳥の作戦だったんだけどな。


 私が役に立てそうな提案だったんだが、優しいラーゼ様は誰かを犠牲になんてしないらしい。膜に突っこむとき、皆がその手に汗を握った。祈る様に目を閉じて、そして恐る恐る再び瞼を開けると、そこには今でとは違う景色があった。


「なに……これ?」

「凄い」

「これは……」


 私とユング、車長さんはそんな風にこの光景に驚愕した。だって見た事ない規模の都市が其処にはあったからだ。天を突く様な建物が伸びて列車に刺さりそうにみえる。緑よりも多い銀色の建物の数々。これと同じような列車がいくつも走ってるのも見える。


 ダンプがこちらとは比較にならない程に走ってて、まさかあの全てに乗ってる奴がいるんだろうか? てかそれならこの天を突く建物もそうだ。もしかしてこの星の内部は全てこんな風に開発されてるんじゃないかと思う程に発展してた。


 ただ綺麗な街なのに、端の方では黙々とした黒い煙が大量に立ち上ってたりしてる。都市の明かりも魔光の明かりとは違ってなんかギラギラしてるように見えるのはきのせいだろうか? 


「こんな所で摩天楼を見るなんてね」


 ポツリとラーゼ様がそんな事をいってた。摩天楼がよくわからないが、多分こんな光景をそういうんだろう。アナハイムがここまで発展した時に、私がその言葉を真っ先に言おうと考えて覚えておく事にする。


「世界樹がないわね」

「そういえばそうですね」


 私達の世界樹はクリスタルウッドだ。あれは目立つ。とても目立つ代物だ。世界が変わっても世界樹とは大きくて目立つものだと思ってた。けどそんな目立つ木は見えない。そもそも緑の一つもないし。この星には緑はないのだろうか? 外でも緑は一回もみなかった。


「どうしますラーゼ様? 降りれる所が……」


 そう車長さんが不安そうに言う。確かにここにはこの列車が降りれそうなスペースがない。いやない訳じゃないが、確実にバレる所にしかない。だって絶対に何かの施設みたいな所の敷地くらいしか広いスペースがないんだ。けどラーゼ様は別段そこは心配してないみたい。


「大丈夫ここまで来てやったんだから、お迎えくらいくるでしょ」


 そしてそんなラーゼ様の予想は当たってた。下から何か虫みたいな変なフォルムをした何かが列車に近づいてきたんだ。そしてそれは列車を誘導する様に一匹が前に。その他の数匹が横と後方に陣取った。なにやら逃がさない陣形にも見えるが、護衛なのかもしれない。とりあえず、列車は前で誘導する一匹についてくことになった。

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