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Ω66

 特急の速さで私達を乗せて列車が空を駆ける。偽りの空が夕日を現すようになった時、今までとは違う場所が見えてきた。それは穴だ。大地を穿つ、大きな穴が見えた。それの直径は一体何キロ……なん十キロあるのかというくらい。まるでこれは星の口だ。


「そこから沢山のマナが出てるわね」

「ではあそこに世界樹が?」

「そうだと思う」


 上空から見ても、漆黒だ。まさかここもこの星の空の様におかしな術でかくされてるのだろうか? その可能性はある。なら突っ込めないような。


「どういたしましょうか?」

「そうね。とりあえず近くに降ろしてみて」

「了解です」


 列車は地上に向かう。そして穴の手前に止まった。そしてラーゼ様がベッドから降りる。私はその後を追って、扉に手を掛けた所で私は声をかけた。


「ラーゼ様!」

「なに?」

「私も行きます! 大丈夫です!」


 この地は私達の星とマナが違う。だから普通に出れば、死ぬか変質してしまう。けど私はラーゼ様の護衛だ。今は! その私が外に出られない、お傍にいられないなんて許される訳ない。私は外に顔を出して少しずつここのマナに体を慣らしてきた。


 今ならなんか行ける気がする。


「きついわよ?」

「望むところです。必ずお守りします!」


 私の覚悟が本物なのを感じ取っていただけたのか、ラーゼ様が息を吐く。


「ユング、あれを」

「はい」


 そういってユングが私に向かって何かを差し出してくる。それは派手な布に、細かな刺繍がされてた。端に紐があって頭の後ろで縛れるようにしてある。


「これは?」

「それには私のマナが封じてあるわ。それで鼻と口を覆えば、私のマナで呼吸できる」

「こんなものいつの間に……」

「ユングが頑張ってくれたわ」


 私にも手伝わせてくれても……とかおもったが、布になされた刺繍はとても細かい。私では戦力になれそうにないと自分でわかる。それにこれがあれば、私の努力が! 努力の意味が!! 


「じゃあ、これなしで出てみる」

「使います! 使いますよ!」


 不安がなかった訳じゃない。ないよりあった方がいいし、受け取った。早速つけてみる。なんか怪しいが、誰が見るわけでもなし、これで安全なら全然いい。けどちょっと息を吐くだけで、ヒラヒラしちゃうが、これでちゃんと大丈夫なの? と思わなくもない。


「じゃあ行くわよ」

「あっ、私が!」


 先に行こうとしたが、ラーゼ様はさっさと扉を開けて外に出てしまった。ユングたちは来ない。女子二人が危険に足を突っ込むってどうなの? まあ、もうそういう感じになってるからいいけど……これももうひとつあるかわからないしね。


 これだけなのかもしれない。なら、私がつけるのがベストだ。そして私は初めてこの星の大地を踏んだ。

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