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Ω59

 ラーゼ様が戻ってきた。その顔は平然としてる。あれだけの大魔法を使ったのに、ラーゼ様には汗一つ浮かんでない。そもそもラーゼ様は汗をかくのだろうか? 想像できない。とりあえずラーゼ様が扉に手を掛けたらなんかあっさりと開いた。


 解せない……さっきはいくらやっても開かなかったのに。まさかラーゼ様は私よりも力が強い? そう思ってむき出しの腕を見る。真っ白で染み一つない腕。細いけど、非健康的に見える程じゃないそのバランスはまさに完璧。


(うーん)


 流石にあの腕で私よりも筋力があるとかは考えられない。けど、身体強化魔法という物がある。人種が使ってもその効果はたかがしれてる。けど無いとあるのとではやっぱり違う。ラーゼ様ほどの魔力を持つ人なら、その効果だって人種の常識に縛られないとしても納得できる。


「何をしたのですか?」


 ユングがそんな事をラーゼ様に聞いてる。確かに何をしたのかは気になる。


「こちらの現状を魔力として打ち出したのよ。返信はこないだろうけど、これで何か対策を立てるでしょう」

「なるほど」

「流石はラーゼ様です!」


 ユングは何やら考えてるが、とりあえず私はラーゼ様を持ち上げておく。上の人は基本持ち上げて気分を良くしておくのは自分の印象の為に大切だ。特にラーゼ様ほどの人となればなおさら。どうでもいい上司とか、頭の悪い奴とかにはしないけどね。


「それでラーゼ様、これからはどうするおつもりで?」

「何もしないわよ」

「はい?」


 ラーゼ様の言葉にユングは目を丸くしてる。けどそんなユングを気にせずに、ラーゼ様は高級そうなソファーに腰を下ろす。うん、まさにラーゼ様の為にあるソファーだね。


「だってここの奴の思惑通りに世界樹を目指したって碌な事ないだろうし、救助が来るのを待つのがいいでしょ? 何の為にさっきあんな事をしたと思ってるのよ」

「それはそうですが……むこうはこちらを監視してるのでは? だとしたらただ何もしないでいるというのは出来ないのでは?」

「…………」


 あっ、ラーゼ様が面倒くさそうな顔してる。それでも可愛いってズルいね。でもユングの言葉に納得したのか、車長を見る。


「これって動かす事は出来るの?」

「今はまだ貯蓄分がありますので……ですがここが別の星なのでしたら、今ある分がなるなってしまえば補給する術がありません」

「別に補給自体は出来るけど……」


 なるほど、確かにラーゼ様はとても巨大なマナを秘めてるお方。この列車に供給するだけのマナもお持ちなのだろう。けど流石に負担が大きいんだろう。私達はラーゼ様をお守りする立場なのに、逆に守られてばかり……ここはそうだ!!


「はい! 私が魔力を捧げます! いくらでも取ってください!!」

「無理、全然足りないから」


 一蹴された。まさよペイって感じで。悲しい。

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