Ω54
宝物庫から出された武器はネジマキ博士の指示のもと、回収された。そして私達はアンティカから降りて、このアルス・パレスの食堂みたいな所にきてた。しかもラーゼ様も一緒にだ。何故に? と思うが、ラーゼ様もお腹が減ってたらしい。
うん、ならしょうがない、しょうがないよね? ユングの奴は納得してないが、緊張してさっきからフォークにさした肉をポロポロと落としてる。まあ私も緊張してるけどね。でもそれは私達だけじゃきっとない。こんな所でラーゼ様が食事するなんて想定してないだろうから、これを作った料理人とか今ヤバイくらい緊張してるんじゃないかな?
ラーゼ様は普通に食ってる。いや、違ったね。優雅に食事されてる。その所作一つ一つに「ほふ」と息が出る程に見惚れてしまう。てか肉汁とかでテカる唇とかヤバイ。エロい。食堂だから高級な料理って訳じゃなく、私にも馴染みある定食なんだけど、ラーゼ様は普通に美味しそうに食ってる。こう言うのも食べるんだって感じ。てか結構がっつり食ってる。
「二人とも箸が進んでませんね。口に合いませんか?」
こっちがその質問をしたかったけどね! まあ見てる限りラーゼ様の口にもあってるんだろう。緊張して中々箸が進まないだけで、ここの料理がおいしくないなんて事は決してない。誤解させたら不味いよね。ここの料理人の人達の為にも。
私とユングは視線を合わせて通じ合った。初めて通じ合った気がする。そして二人で食事をかっこむ。マナー? もう緊張でどこかにいってしまった。美味しいです――って事をつたえる為に私達は必死に料理を口の中に突っこむ。実際、味は良く分からなかった。
とりあえず食後に出されたデザートをついばむ。なんかここはかなりデザートが充実してた。だから私はチーズケーキを注文した。ラーゼ様なんか、ケーキとムースを注文してた。私にはそうでもないが、やっぱり美少女にはデザートが良く似合う。ユングの奴は大人ぶりたいのか、ブラックコーヒーを飲んでる。
「ラーゼ様、何故に私達と食事を?」
「おかしい? 二人はお客様なのだからおもてなしですよ。大丈夫、夜にはもっと豪華な所でもてなしますよ」
そういう事じゃない。寧ろ、私的には遠慮したい。だって今はマナーなんて気にせずに食事を出来たからまだ乗り切れた。けど本物の超高級料理とか出てきたら、もうどうしていいかわからない。でも、辞退も出来ないんだよね。
「そういう訳で、夜までは私が直々にお二人を案内しましょう」
「「ええ!?」」
私とユングがまたシンクロした。でもこれはしょうがない。だってなんで私達にここまでかまうのか謎だ。そんな事を思いながら食堂からでると……なんかとても多くの護衛達がいた。いや、うん、そうなるよね。