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√81

「ミリア……なのか?」


 震える声でそういうカタヤ。でもそれは無理はない。だってカタヤはずっとミリアを救う術を探してた。そのミリアが今は目の前にいる。信じられないような姿でだ。あれは……ミリアだ。それは間違いないだろう。不思議な事に瓜二つと思う程に似てた亜子とは何故か共通点を見いだせなくなってる気がする。


 でもそんなはずはない筈だ。何故なら、それは俺たちがアレをミリアと認識してる。昔の懐かしさを感じてる筈なんだ。なのに、瓜二つの筈の亜子とは似てる……とおもえないなんてありえるか? 成長した姿だからってだけでは説明できない筈だ。

 ベースというか面影がある筈なんだから。何処かに違和感がある。でも不思議とミリアを見てると、胸がいっぱいになる。懐かしさや、感動の兄妹の対面とかのせいか? 


「ええ、ようやく再び会えましたね兄さま」


 見上げるミリアが優しく微笑む。そんなミリアの額には黄金の一角がはえてる。しかもかなり長い。でもカタヤの奴はそんな事をきにしてないよう駄。家族としては生きててくれたってだけで十分なのかもしれない。俺もミリアがその姿を見せてくれたことはうれしい。


 ミリアは俺にとっても妹のような存在だかな。でもその懐かしさや嬉しさ胸をいっぱいにすると何かダメなようなきがする。本当にミリアの変化に違和感を覚えなくなるというか……そしてそれは危険だと俺の直感は告げている。


 忘れてはいけない重要な事実が一つある。それは今のミリアは『魔王』だということだ。その姿がその証拠だろう。彼女の見た目は人種じゃない。完全に他種族のそれだ。ハグをしてお互いを確かめ合った兄妹にこんな事を言うのは野暮かもしれないが、言わないわけにはいかない。


「カタヤ、覚えてるか? ミリアは、魔王……なんだぞ」

「魔王? 何言ってるんだベール?」


 衝撃を受けた。俺はミリアをみる。その顔は何やら申し訳なさそうな、けどちょっとうれし気な……なんともいえないような表情だ。やはりミリアがやってるのか。ミリアか魔王と一体となってその魂を守ったのを俺たちは知ってたはずだ。

 だからこそ、その開放をカタヤは目標にしてきた。そして今、その助けるべきミリアが目の前にいる。なのに、その事をすっぽりと忘れるなんて……


「素晴らしいのう。よくぞ、戻ってくれたミリア嬢よ。本当にうれしく思う」

「ありがとうございます陛下」


 どうやら陛下もその周囲の人々もミリアの外見の変化に気づいてない。それとも薄められたのか……俺は理解した。あれは確かにミリアなのだろう。だが…同時に俺たちが知ってるミリアでもない。やはり魔王ミリアなんだ。俺たちの国はいま、魔王からの侵略をうけてる。


(どうする!?)


 この状況、既にミリアの影響は浸透してる。俺一人がなにかを訴えたとしても……それがとおる訳はないだろう。なら、強硬手段? いや、無理だ。魔王と呼ばれる存在となったミリアに銃弾を一発脳天に打ち込んでも死にはしないだろう。それにそんな事をカタヤの前ではやれない。


 積んでる……いまの俺たちではどうする事もできない。なら、せめてカタヤにだけは事実をわからせる必要がある。そう俺に出来るのはこの程度の事しかない。

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