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√62

 ぬいぐるみ達が魔族の女を笑い転げさせてる。この隙しかないと騎士は急いで女性騎士に近づいた。


「おい! 大丈夫か?」


 騎士は強く女性騎士の肩を掴んでそういった。だが彼女の瞳は虚ろだ。どこを見てるのかわからない。そして口からは「あっあ……」という言葉にならない声が漏れてる。


「くっ、戻ってこい!!」


 そういって騎士は力の限り女性騎士をひっぱる。するとべりべりという音共にクリスタルウッドの木の皮がはがれた。その音にギョッとする騎士。


(だ、大丈夫だよな?)


 そもそもクリスタルウッドに触れる事事態が大きな罪になる。それなのにこんなクリスタルウッドを傷つける行為……下手すると極刑でもおかしくない。だが、まだ彼女の意識は戻ってない。きっとこの大きすぎる力に直接繋がってるから行けなんだと騎士は考えてる。クリスタルウッドは世界を支えるマナの循環装置だと聞いてる。クリスタルウッドには世界のマナがある。それは到底、人種なんかに耐えられる量じゃない。


 それが出来るのはラーゼ様だけ。本当の特別はあの方だけだ。彼女も世界の守りに選ばれるだけの容姿を持ってるが、それだけだ。ラーゼ様程に特別なんて事はない。


「うおおおおおおお!!」


 騎士は覚悟を決めて更に彼女を引っ張る。さっきよりも勢いよくバリバリとクリスタルウッドの皮がはがれる。そうしてなんとか彼女を騎士は救いだした。


「おい! 大丈夫か!!」


 鎧にくっついてる皮をとりあえず取り払って女性騎士の頬を軽くはたいた。さっきまでは何の反応もなかったが、今は違う。ちゃんと瞬きをして眼球が動く。そして助けた騎士を捉えた瞬間――


「この!」

「ぐあ!?」


 ――いきなり殴られた騎士。訳が分からない。兜を殴られたから別段痛い訳ではない。いや、ちゃんと衝撃はあったが、生身を殴られた訳じゃないから、その衝撃は一瞬だった。だが、助けたのにこの仕打ちはあんまりではないだろうか? とは思ってる。そんな非難の目で見てると、女性騎士はようやく状況を理解したようだ。


「あっ……えっと、間違えちゃった」

「……まあ無事ならいい」


 間違えたのならしかたない。あんな状態だったんだ。何が起きたのかわかってなくてもおかしくない。


「奴は!?」

「そこだ」


 騎士が指さした先にはなんとかぬいぐるみ達を引きはがした魔族の女が、プルプルと足を震えさせて何とか立ち上がってる所だった。くすぐられ過ぎて体には汗がにじみ、肌も高揚してるからか、元々全裸なのにエロさが倍増してる。これが敵では無かったら……少しの体の違いなんか気にせずに彼女を抱いてる奴は多いだろう。それだけ魔族の女は魅惑的だ。


「まさか、私の弱点を的確につくなんてやるじゃない。裸だったのもダメだったかな?」


 弱点だったのか……ならまた……今度はぬいぐるみ達ではなく、自分たちでやる所を想像してみる男性騎士達。途端に下半身に血流が集中しだす。


「こんな時に別の剣を抜かないでよ」


 折角助けて好感度が上がった筈なのに、既にごみを見るような目で見られてる。おかしい……鎧の下で下半身部分は見えない筈。それもこれもあの魔族の女が悪い。そもそも裸で戦うとか戦闘をなめてる。その豊満なおっぱいとかに男性なら目がいかない訳ない。いやらしいから見てるわけじゃない。揺れるものに生物の視線はどうしても反応するのだ。そんな言い訳を頭の中でしてる男性騎士の面々。


「しょうがないから、戦闘服にするわ」


 そういう彼女にぬいぐるみ達と女性騎士がかまえる。がっかりと思ったのは男性騎士達だけだ。でもそれは杞憂だった。一筋の風が吹き抜けて魔族の女が「よし」という。だがそれはとても服とは呼べない……ただの紐で局部を隠しただけだった。男性騎士たちはやはりあの魔族はわかってる――とおもった。

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