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物凄い音と振動が響く。ファイラル側の人達は逃げたが、化け物と化してた国軍側は逃げたりしてなかった。そうなると、かなりの数が、あの巨体の下敷きになったということだ。砂埃が周囲を染めている。何もみえないほどだ。どれだけの被害が出たかは分からないが……ただ利用されただけの兵士達が大半だろうに……哀れだと蛇は思う。だが命を散らすのも兵士の仕事。それ以上を思うことはない。
この責任を取るのは我々ではない。それは人種の国の上の奴らだということだ。
「アンサンブルバルン様!!」
そういって五体の兵士達が蛇の傍に寄ってくる。そして膝を素早くついた。勿論膝がある奴だけだ。ない奴は頭部分を下げてるなってわかる程度に下げてる。
「皆、よくやってくれました」
「本当に、そこそこ役に立ってくれましたよ」
ヘビと共に彼女もそんな言葉を彼らに送る。すると彼らは体を少し反応させて彼女をみる。
「おお、トゥルー様も起こしでしたか」
「ええ、アンサンブルバルン様に助力をしてました」
むふーと得意気にそういうトゥルーと呼ばれた彼女。皆は何やら、彼女を苦手としてるのか何やら微妙な空気。
「今回はとても助けて貰いましたよ」
「ふふ、お褒めにあずかり光栄です」
なんか努めてトゥルーはおしとやかに見せようとしてる。猪突猛進な様子がみてとれない。そんな彼女を様子をちょっと引いてみてる彼等だが、蛇も肯定してるから、そうなのだろうと思うことにする。それに下手につついても碌な事にはならないと、彼らは知っていた。
「どうでしょうアンサンブルバルン様、これで終わりでしょうか?」
布だけの奴がそう聞いてくる。それを蛇は土埃が収まりそうもない方を見ながらこういう。
「どうでしょうね」
上手く頭を撃ち抜いたと蛇は思ってる。たが、あのでか物の能力は実際の所、わからなかたった。なにせその力を見る前に倒そうとしたからだ。それは上手くいって今このようになってる訳だが……完全に倒したのかはわからない。あれだけの大きさだ、生命力もそれなりにあるかもしれない。頭脳は破壊したが、あの体にたまってる力がどうなるか……それはわからない。そうおもってる、再び大きく地面が揺れる。そして地面の割れがひどくなっていく。どうやらあのデカい体が暴れてるようだ。
「やはり思った通りにしぶといようですね」
冷静にそういう蛇だが、別段焦ってないわけじゃない。あの化け物から感じる力がどんどん大きくなっていってる。このままじゃ、膨れる力に体が耐えられなくなって爆発するだろう。あの巨体の爆発だ。放置してたら、蛇たちも巻き込まれる。逃げれる時間はない。一刻も早く、あの巨体を消滅させなければ……けどいまのめんつでそれが出来るか? ダンプもあの巨体に押しつぶされただろう。
そう思ってると、一機の飛空艇が上空にきた。そしてそこから何かが投下される。それは空中で割れ、中から大量の何かが巻かれる。土埃の中に消えていくそれが何なのか、蛇たちにはわからない。だが、それが投下されてから、次第に力は小さくなっていく。地面の揺れも収まっていった。そして静かになった戦場には、無数のぬいぐるみ達がお腹をさすって寝そべっていた。




