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√57

 「世界の守りを使ったか」


 脱出してきた蛇たちに魔族がそういう。頭と体が合体してるから、その巨大な口から出る事は大きい。だが、別段口が動いてる訳ではない。大きな口から直接声が聞こえてくる。発声はどうしてるかわからないが、そんなことはどうでもいい。


(こいつらは何故に知っている?)


 まだラーゼ様は約束の地から戻ってはいない。なのにこいつらは我らよりも先にその事を知っていた。なにせこの世界の守りの情報は魔族から得たものだ。クリスタルウッドを得ようとした魔族から……


(いや、まだ得ようとしてる……ですね)


 実際、まだ軍は動いてる。国軍が動き、そしてその陰で魔族が暗躍してる。国王は魔族の傀儡になったのか……こちらも守るだけではいけないかもしれないと、蛇は考えてる。だが、まだその時ではない。


 目の前の事が大事だ。このでか物を倒す算段は既にできている。


「女に守られるとは、名高きアンサンブルバルンがそれでいいのか?」


 挑発的な言葉だ。そう蛇は思った。そんな事で蛇は惑わされない。だが惑わされる奴がそこにいた。


「なんという不遜! ただデカいだけの奴が英知の結晶であるアンサンブルバルン様にそんな口を叩いていいとお思いか!!」


 その言葉に呼応するようにどこからか三股の槍が飛んできた。それを見ずに彼女は受け止めそのまま突撃してく。槍に水が纏わって更に彼女の周囲に水の槍が五本現れた。


「うおおおおらあ!」


 彼女が女性とは思えないような声を発する。そしてまずは水で作った槍を五本まとめて飛ばした。だが、その槍は奴の固い体を貫くことは出来なかった。けどそれを彼女はわかってた。

 本命は自分自身。


「水などで我の体を傷つける事が出来ると思うなよ」

「できますよ。私の気持ちと水の強さをなめるな!!」


 彼女は迷いなく突っ込む。だがやはりその切っ先は奴の堅い殻に阻まれた。水の槍の様にはじけるような事はないが、通らないのなら同じこと。


 だが彼女の攻撃はそれで終わりではなかった。彼女の五本の槍が弾けた個所は水の跡として残ってる。そこに魔法陣が浮かぶ。そしてそれは一定範囲を囲んでて、その中心に彼女がいる。


「はあああああああああ!!」


 波紋が波打ったと思ったら、次の瞬間外殻にひびが入る。そこから更に彼女が声を上げて槍を押し込んでいく。


「なに!?」

「私の愛をしれえええええええ!」


 蛇はその様子をただ黙ってみてた。いや、なんといっていいのか……そもそも彼女は何をやってるのか? 戦闘だよね? 告白じゃないよね? と蛇は困惑してる。

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