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√56

(さて……あとはタイミング――)

「あの……アンサンブルバルン様、ここからどうやって出ましょうか?」

「おっとこの状況ももありましたね」

「アンサンブルバルン様……流石の余裕です!」


 本当に彼女は……そう蛇は思った。彼女は蛇が何をしてもいい方に捉えるのではないのだろうかという懸念がある。盲目的というか……蛇は自分を有能だとは思ってるが、全能だとは思ってない。そこら辺はちゃんと見てほしい。

 寧ろ少し嫌な感じだ。だってこのような心理は信仰じゃないか。それは蛇にとってはラーゼ様に向ける物であって自分に向けるものではない。だが、なんといっていいのか……なにせこんな彼女に、蛇自身がそんなことはない――といってもきっと聞かないだろう。

 謙遜してると思われる。盲目的な信者とはそういう物だ。とりあえず……


「結局拘束は解かれましたし、鞭を使って中から攻撃してみましょう」


 大抵は外は固くても中は柔かったりするものだ――と蛇は考えた。でもそれでもこいつは巨大だ。象に対して蟻が一噛みしたってダメージが入らない様に、それは蛇たちも同じだろう。下手な攻撃をやるともっと思いっきり噛まれるかもしれない。


 それに油断させてる間にやるのがいい。なら、最初の一撃に全てを込めて脱出するべき……蛇は自身の腕の先にある鞭に目をやる。そこには無残に引きちぎられた鞭の姿があった。流石にこうなってしまっては拘束し続けるなんて無理だったのだ。この通り、鞭は破壊されあの化け物は再び自由の身となってしまった。


 当然、このままでは使い物にならない。だがこの鞭は特注だ。特殊な素材を使って特殊な工程で作ったもの。マナを流せば再び元の姿になってくれる。


(戻りなさい)


 そう念じてピアスからマナを引き出す。


(む……?)


 何か違和感を感じた蛇。それはマナの出だ。さっきまでと違って、流れが悪いような……まるでどこかに大量に流れてるから、こっちの出が悪くなってるような……そんな感じを感じた。


(まさか……)


 蛇は彼女を見る。正確には彼女を覆う障壁だ。これは新たにラーゼ様が書き加えた世界の理らしい。これは世界の守りだから、自身のマナを消費することはない。だが、エネルギーとは勝手に生み出される物ではない。この障壁のエネルギーだってどこかから持ってきてる筈。


 そして世界とはクリスタルウッドだ。アレが世界のマナを循環させてる。なら世界に必要なマナを供給してるのもクリスタルウッドの筈だ。つまり、今までの所と他に新たにクリスタルウッドが世界のマナを使ってやる事が増えたのかもしれない。


(こうやって守られる度に世界のマナが消費されるのだとしたら……それは……)


 蛇はその懸念に気づいた。後でラーゼ様に報告しようと心に誓い、だが今は目の前の事に集中する。少し時間はかかったが、鞭はヘビの姿を取りもどしてる。蛇は自身のマナを高ぶらせる。そして鞭を上下にそれぞれ放った。鋭く、強烈な一撃が巨大な口を開かせる。そこから二人は脱出した。

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