#64
「ううーん、いたっ……」
目覚めてモゾッと動くだけで、下半身に感じる違和感。朝日なのかなんなのか、きっと朝日だと思う日差しが私の顔に降り注いだことで私はおきた。
そして動いたわけだけど、それで昨夜の事を思い出す。痛みが激しかった夜が夢じゃなかったんだって伝えてきた。悲しくはない。けど、なんとなく虚しい気もする。
私は頑張って動こうとする。喉も乾いたしね。だってそのまま眠ってしまったみたいだ。生々しい匂いがしそうなものだけど、別にそんなことはない。
いや、自分じゃ気づかないだけかもしれないが、私は自分から嫌な匂いがする……なんて思ってない。まあけどヘビの方の匂いは……うんちょっと臭うけどね。
「私に移ってないよね?」
それはいやだ。だって私は美少女だ。美少女はいつだっていい匂いをさせてないといけない。まあ私はまだ若いしきっと大丈夫だろう。ヘビのやつは……何歳かは知らないがおっさんとか呼ばれる年齢くらいは言ってると思う。
まあヘビは人種ではなく、蛇だし? 年齢はよくわかんないけど……
「んーんんー! 離しなさいよ!」
私はなんとかヘビの腕から脱出しようと頑張った。なにせ私を絶対に離さないと言ってるかのように腕で抱きしめてる。力では勝てない。
しょうがないから私はなんとか体を小さくして脱出した。元々小さくて助かった。それに髪のボリュームがあったのもよかったね。それに私は細い。力で抗うよりも小さくなって隙間から抜け出すほうがやりやすかった。
「ふう……」
私は部屋にあった冷蔵庫から飲み物をとった。なんか美味しそうなのがあった。透明なガラス瓶に果物がつけてあってピンクになってる液体だ。
きっと飲めるだろう。いやはや、ここが文明的で良かったと思った。飲み物も飲んだし、今度はお風呂に入りたいと思った。ここはかなり近代的な建物だ。
上下水道だって完備してるし、エアコンみたいなのもある。お風呂だって……ね。なので私は簡易な服をきて廊下に出る。すると……
「はあはあ……」
「くっ……うう」
と唸ってる二人の獣人がいた。グルダフとカメレオンだ。まさか、ずっと聞いてた? ちょっと恥ずかしい。てか二人共なんでそんなにくるしそうなの?
そんな事を思ってると、二人はなんか近づいてくる。自分よりも大きな獣人の二人が泣きながら近づいてくる……私は後退りするよ。
「 「ラーゼ様」 」
私の名前を呼ぶ。そして「ご苦労さまです」と言ってくれた。二人は私がなんでこんな事をしたのか、わかってる。いや、それはヘビのやつだってわかってるだろう。
私の目的なんてあいつなら……けどきっとこれで私にメロメロになっただろう。ふふ、ここからだよ……ここから私の覇道は始まるのだ。私の目的はわかってても、二人は悔しかったのかな?
「ラーゼ様、我々にもチャンスはいただけるのでしょうか?」
彼らの下半身を見たら、私をそういう目で見てるとわかる。私はまだ子どもだけど……まあ美少女だからね。しかもそこらの美少女ではない。最上級の美少女だ。そこに種族間の差なんて関係ない。
「そうね。私、尽くしてくれる人が好きなの」
そう言ってウインクをしてあげる。すると二人は暴発した。何が、とはいわないよ。私はそんな二人をおいて、お風呂にむかった。
「はぁー、極楽極楽」