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√44

「信じられない?」


 魔族の女は目を細めてそういう。完全にこっちを手玉に取ってることを楽しんでる。それが騎士たちにはわかった。安易には信じられない。だが、目の前ので起こったことは事実。なにか種があるのかもしれないが、この兜には魔力を見る機能だってある。


 それは敵の強さを測るのに必要だからだ。強い敵は相対的に魔力も多いものだ。そして大抵の種は力を使えば体を覆う魔力が流れる。力を使う程に減っていく。けど、目の前の魔族の女に力の変化は見られない。それはつまり……力を使ってないということだ。


 こちらの精一杯の攻撃でも全く力を使ってない……もしかしたらそれは騎士たちの力と魔族の女の力に大きな隔たりがあればあり得るのかもしれない……だがそれは考えたくないことだった。だってそれじゃあ、人種では魔族には勝てないと言ってるようなものだ。


(だが……それは……)


 騎士の一人は自身の魔剣を見る。それは銃を持ってる奴も同じだ。日々、進化してる武器はここ最近、更に大きく変化した。人種だけの知識だけじゃなく、ラーゼ様が下した種の知識も合わさって進化してるんだ。人種の力は微々たるものだが、合わさった種の力はそれなりにはある筈だ。


 それを全く力を消費せずに防ぎきれるとは思いたくない。それならまだ……世界が守ってるとおもった方が……


(だが、それでもどうしようもなくないか?)

(そもそも、世界が守ってるのなら、なぜこの少女は操られてる?)


 少女を抱えた騎士はそう思って腕の中で眠ってる少女に目を向けた。その安らかな寝顔からは催眠状態は解けたと思っていいのかもしれない。


(もしかして操られた時にはまだ、そんな力は働いてなかった? それとも直接的な命の危機にしか反応しない? それなら奴の精神を操るような攻撃ならなんとか……)


 そう考えた騎士だが、難しいと直ぐに頭を横に振る。基本的に魔力の多い相手をそれよりも少ない相手が洗脳するのは難しい。大体の種は人種よりも魔力は多いんだ。外的に補助は出来るが……いまある武器の全てを使ったとして、あの魔族の女に効くのかどうかは賭けでしかない。


(危険すぎる……か)


 今の所、あの女がクリスタルウッドに危害を加えることはなさそうだ。だが何かみえない何かをやってるのかもしれない。今だに一定数の避難民はクリスタルウッドに何か祈ってるし……


「なぜ、お前がそんな事を教えるんだ?」


 それは騎士の一人の言葉だ。あの魔族の女は全てを自分の力と偽った方が都合が良かった筈――といいたいらしい。それは確かにそうの通りだ。わざわざ世界から守られてるとバラす必要性はないし、少女を使ってまで証明することでもない。

 だって自身の力とした方が、騎士たちはその絶望的な力の差に逃げたしたかもしれない。


「色々と言葉を交わすなど無用でしょう。私が行きます!」


 そういって一人の騎士が前に進む。それは細身の鎧に身を包み、胸が膨らんでる騎士だ。彼等の中にも女性はいる。そしてここで前に行くとなれば、それは容姿に自信がある者だ。


「やめろ! 本当に守られるかわからないんだぞ!」

「ですが、これしか手はないでしょう。私がダメだった場合は別の者にラーゼ様の加護がある事を願います!」


 同僚の声だ。騎士たちはあの中身の顔を知ってる。そして彼女以外では無理ではないかとも思ってる。彼女は騎士に似つかわしくないくらいに美人だった。あの魔族が言うようにかわいい女の子を守るのなら、彼女は守られる可能性はある。


 だが、確実ではない。けれど、絶対の防御には絶対の防御をぶつけるしかないのかもしれない。


「いくぞ!」


 剣を構えて彼女は突っ込んでいく。周りの騎士たちは援護できるように身構えた。

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