表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

627/2426

√33

「ふうー何とか一矢報いたか」


 国軍の中で一番強固なダンプの中にいる男がそういった。成人男性が立てる程の高さの天井に、更に成人男性が更に四・五人は集めれるスペースがあり中央には大きな机。そこにはこの戦場が俯瞰して映し出されてる。だが、時折その映像は乱れ、映像の質もファイラル領のよりも悪い。

 

「将軍、いくつかのダンプから動力が戻ったとの報告が上がっております」

「情報は正確に伝えろ!」


 将軍と呼ばれた精悍で無精ひげが似合う隻眼の男が部下を怒鳴る。部下はもう一度きちんと動けるようになったダンプの部隊を読み上げる。


(色々と混乱してるのはわかるが、情報は大事だ。全てをあちらに握られては勝機を完全に失ってしまう)


 将軍は最初に軍を停止させなかった事を後悔してる。だが、これだけの大軍は動かすのも止まるのも大変なのだ。ダンプは急には止まれないのだ。下手に急ブレーキなんかしたら、後続が突っ込んでくるかもしれない。それでも先頭集団のダンプがつぶれる事はないが、被害はでるだろう。


 次々と合流してくるさまざまな領の軍はお世辞にも足並みはそろってないのだ。命令系統が統一されてない。今ようやくそれが魔術的に解決したところだ。これで対等に……いや、攻勢にでるべきだろう。ファイラルの軍は未知数だ。完全に公開してない訳ではないし、将軍も色々な式典やイベントでファイラルの軍は見てる。だが、実際に手合わせするのは始めてだ。


 それにこの領は派手好きだから、色々と見せてはくれていたが、そのたびに知らない種は増えてた。それが今、この時まで続いてたとすれば……すでに人種よりも他種族の方が軍に多いなんてこともあり得る。


 今の一撃を加える為に後方から直接魔力を融通してもらって危機は脱したが、この戦力差でも油断はできない。人種は弱いと、将軍は知っている。


「まずは壊れかけの二基を完全に破壊する。あれが復活しないとも限らん。迅速に後方軍を動かせ。こちらはまだ動かないダンプを引っ張って結界の外に出すのだ。騎士はその間周囲を警戒しろ」


 とりあえず近くのダンプも早急に復活させる必要がある。ダンプ同士で引っ張れば結界の外へと逃れる事は出来るだろうと将軍は考えた。


 ある程度距離を取って後方軍が攻撃を始める。まずはダンプの機銃で牽制しつつ、少しずつ機械を包囲してく。幸いにあの結界を作り出してる機械は点在してる。圧倒的に国軍の数が多いのだから、他の機械のを警戒しながらでも、それぞれ孤立させることが出来る。


「将軍、やはり兵の持つ武器では傷つけることは出来ない様です。後方軍の機銃程度でも無理です」


 予想はしてた事が報告される。こちらの必殺の一撃でも耐えるのだ……そんな機械がやすやすと壊れるわけはない。だがこちらのもそう易々と撃てる物でもない。


 範囲が狭くなったといっても、あまり近づきすぎると再びダンプは止まるだろう。厄介な物を作ってる。あれは威力は極大だが、射程はそこまででもないのだ。ダンプに取り付けられる武装はアレだけではないから、他ので攻撃してもいいが、エネルギーは無限ではない。


 一番あの手に効くのは、爆発物を取り付けて吹っ飛ばすとかだろう。そのためにはあの機械を守ってる向こうの兵を蹴散らす必要がある。こちらは周囲を警戒させてもまだあまりある人員で一つ一つ落とす事が出来るだけの戦力がある。とりあえずそれぞれの機械へと攻撃をさせて援護させない様にして、最初に狙う一つを決める。こうやって一つずつ確実に潰せば、負ける事はない。


「ファイラルよ、正しい人の戦い方をみせてやろう」


 将軍は厳しい顔をしてそういった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ