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√32

 結界の範囲外から砲撃を始めた国軍だが、その狙いはお粗末なものだった。なぜなら味方も巻き込んでるからだ。結界を構成してる機械を本当は狙いたいのだろうが、そんな事をこちらが許す訳はない。加えて、こちらは普通の領に配備されてるくらいの装備は知ってるのだ。


 その情報を元に陣地を構築したこちらに向こうのダンプにつけられてる装備で届くものはない。この大軍の中でそれを為せるダンプは先頭にあった一部のダンプだけだろう。もっと分散してればどうにかなったかもしれないが、今となっては後の祭り。


 一番デカいダンプは一番深いところで立ち往生してる。あそこから抜け出すには、最低でも結界を構成してる機械を二機は破壊しないと無理だろう。


「愚か……とは罪深い」


 蛇はそう呟く。でもまさか、向こうから選別に協力してくれるとは……仲間まで巻き込む砲撃。一部のダンプは魔力を圧縮した砲弾を一定感覚で放ち、あるダンプは機銃を撃ち放ってる。だがしかし、その攻撃にまきこれてるのはほぼ国軍の奴らだ。

 なにせファイラルの方は少数精鋭の部隊で大軍の中に切り込んでるのだ。しかも大量の奴らが入り乱れてるなか、狙って当てるなど不可能に近い。だから大雑把に撃つと大抵味方に当たる。数が国軍の方が多いんだから当たり前だ。


 だが、それしかないのも事実。結局、一人一人の人種など、他種族からしたら路傍の石と変わらないのだから。後ろから砲撃をしてる奴らは、命令だからやってるのか、それとも色んな領の集まりだから、独断なのか……もしかしたらこの機会に他領の戦力も落としときたいとか思ってるバカがいるのかもしれない。


 流石に前にいる国軍側の兵士たちが前線から逃げていく。それはそうだろう。巻き込まれるとわかってる中に委託はないだろう。そもそもがファイラルの軍が気絶にとどめてた兵士達がどんどん死んでいってる。まあ何もわからず、痛みもなく死ぬのはある意味幸運なのかもしれないが。


 ファイラル側からしたら、せっかく苦労して命までは取ってないのに……的な思いもある。まあそこまで気にしてないが。


「ん?」


 再び国軍の方に動きがある。砲撃がやんだのだ。もう玉切れ? というかエネルギー切れだろうか? ありえなくはない。なぜなら、後ろの方にいる領程、それほど力がない領だからだ。あり合わせの装備を急いで担いで慌てて功績を得る為に来たような急ごしらえの軍の筈。

 なら、早々にエネルギーが切れたとしてもおかしくない。だがそんな後方のダンプ部隊から何やらチューブの様な物が伸びてた。拡大すると、そこにはひと際いい装備をしてる兵隊がいる。そしてそのチューブは後方の沢山のダンプにつなげられてるみたいだ。


 そしてそのチューブの元はというと……


「なるほど、少しは知恵があるようですね」


 先頭の一番大きなダンプのデカい砲台が動き出した。淡い光をためてそれが細長いレーザーを横になぐ。そしてそれが走った場所が爆発した。揺れがこちらにも響く。


 二機の機械には届いた様で、破壊とまではいかなかったが、損害は受けた。機能が六十二パーセント低下したと報告が上がる。僅かでも狭まった結界で、動きだせるダンプが再び動き出して一斉にこちらの陣地に向かって砲撃を始めた。


「少しは抵抗したくれた方がこちらも楽しめるというものでしょう」


 蹂躙するだけが楽だが、それだと味気ない。この程度は想定の範囲内だ。国軍は勢いを少し取り戻して兵を再び全身させ、武器の射程にこちらを捉えようとしてる。


「我等もそろそろ出撃しよう」


 三メートルを超える布人間がそういった。これからは向こうが攻めてこちらは機械を守る防衛線だ。だが、ただ守るだけでは勝てない。こちらからも中枢に仕掛けねばいけない。その一翼を彼らには担ってもらう。


「頼みます」


 蛇はそう言って彼らを送り出す。

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