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√25

 避難民がたどり着いたのはクリスタルウッドの根本。普段ならここまで近くに寄れる事はないであろう場所だった。周りを見ると驚きで固まってる者もいれば、クリスタルウッドへと両手を合わせて拝んでる人もいるくらい。でもその気持ちはなんとかなくだが、わかる。

 だってクリスタルウッドはとても圧倒的だった。


 確かに大きいのはわかったてた。けど、それだけじゃない。力を感じるんだ。ただの農民だった奴が何を言ってるんだと思うだろうが、多分他の人達も同じだ。だからこそ自然と拝んでしまう。木なんて大抵自分たちよりも大きいが、力を感じるなんてそうそうない

 ただそこにあるだけ……けど、この木は違うと、なんの変哲もない農民ですらわかる。それがどれだけ凄い事か……騎士とかは剣を合わせれば互いの実力がわかったりするらしい。実力を測るにはやっぱりある程度の心得とかが必要な訳で……けどそれすらもなくわからせる力。


 確かに殺気とか威圧めいたもので力を誇示しようとしてくる力は誰にでもわかるものだ。けど、それによってこちらが受ける印象は決してよくない。そんな力には憎しみとかしかうまれない。けどじゃあ、このクリスタルウッドの力を感じてそんな憎しみが生まれるかというとそうじゃない。恐怖でもない。


 ただただ、圧倒的な力に包まれてるかの様な……いうなれば『安心感』がこの場に満ちてる。まるで母のお腹の中にいるかの様な……例えるならば、きっとそんな感じだ。そしそれはあながち間違ってないのでは? と思う。聞いた話によると、この世界のすべての命は世界樹を通して輪廻してるらしい。


 ならば、クリスタルウッドはこの世界のすべての母といえる。だからこそこんなに安心するんだろう。


「凄い」


 見上げても全体像なんこれっぽちも見えないクリスタルウッド。その時、自分は繋がった手が汗ばんでるのに気づいた。


「セイ?」

「うん? あはは、スッゴイ所につれて来られたね」

「確かにそうだな」


 こんな所、普通はこれないだろう。でもわざわざここが避難先になってるのは、やっぱり領民の不安を少しでも解消するためなのだろうか? いやはや本当にここの領主は気前がいい。普通の領主なら、平民たちをこんな重要な場所にかくまうなんて事は絶対にしないだろう。

 守る者は一か所に集めて守った方が守りやすいって判断なのかもしれないけど、それでも……だ。


「ねえ、もっと近寄ろうよ!」


 セイは無邪気な顔をしてそういってくる。きっと手が汗ばんでるのは興奮してるからなんだなと思った。


「いや、あんまり近づくと失礼じゃないか?」


 相手は木の筈なのに、自然と敬意を払うかの様な事をいっていた。自分にびっくりだ。だが、この雄大を目の当たりにするときっと仕方ない。


「大丈夫だよ。ほら、私たち以外にもいるし」


 確かにどうやらこのクリスタルウッドの周囲いればいいようでそれ以外の注意事項はなかった。ならいいのかな? 自分はセイと共にクリスタルウッドへと近づいた。そしてセイは何やら息を荒くしながら、クリスタルウッドへと手を伸ばす。


「おい、それは……」


 流石に周りも触れるまではやってない。けど僕の止める声むなしく、セイはその手をクリスタルウッドへとつけた。

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