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√9

 はむはむ――とセイが串焼きを頬張ってる。今自分たちは支給された服を着てるから、汚さないかハラハラするが、それでもセイは可愛い。自分はシャツとズボン、単色の奴だが、布自体の違いが村で来てたやつとは明らかに違う。女性陣も実際男性陣と同じようにそこまでお洒落な奴は配布されてないと思うが……セイは自分流に着こなしてるからか、中々にこのアナハイムに溶け込んでた。


 まず胸は出したいのか、胸元が大きく開いてる。しかもその胸もとの空き方……いかにもむりやりビリビリした感じがあるんだが、そのワイルドさもファッションにしてる。服も一つを着るんじゃなく、上着を羽織ったり腕部分をめくったりしてるし、スカートなんかやけに短い。まあその下にぴっちりとしたズボンをはいてるが……最初見た時、度肝を抜かれた。

 確かアイドル? というのはこんな格好をしてるって聞いたが、見た事はない。


「そういえば、王妃っていつ来るのかな?」


 食べながらそんな事を聞いてくるセイ。こいつも王妃様に興味があるらしい。確かに人生に一度くらいは王族ってのを見てみたい。


「ニュースって奴でわかるんじゃないか?」


 そこら辺で普通に映像を流してる。トーテムの様な台の上にそこまで鮮明じゃないが、映像が浮かんでる。そこでは身なりを整えた女性が机を挟んでニュースなるものを読んでいる。通る声にそれなりに綺麗な見た目。やはり人目につくことだから見目がいい人を選んでるんだろう。


 だが、それでもセイの方が……と自分は思う。贔屓目かもしれないが、セイはこのアナハイムでもレベルが高い方だと思う。街を歩いててもそう感じた。それに街の男どもはセイの開け放たれた胸元を見てたしな。


「今日の午後にはつくって、案外早いんだね」

「自分たちが乗ってきたようなので来るんじゃないか?」


 王族ともなれば、飛空艇くらい持ってるだろう。このファイルは国の端っこの方の領だが、飛空艇を使えば自分たちの常識からかけ離れた速さで行き来できてもおかしくない。だって今でも、自分たちが空を飛んでたとか夢みたいだ。


「じゃあそれまでに仕事の紹介所にいこうよ。早く終えて王妃様見たいし!」

「そうだな」


 早く行き過ぎると難民たちでごった返してると思って先に街の散策に出たわけだが、そろそろいいかもしれない。自分たちは来た道を戻る事にした。難民の仕事斡旋所は併設したところにあるんだ。


 仕事斡旋所の中に入ると、小さく小分けされたテーブルに係員さんがいて、個別に対応してるようだった。その数は数十はある。まだ結構人がいる。当たり前か……だって昨日の今日だ。一日でこれだけの対応するファイルの人達が凄すぎる。


 とりあえず小一時間ほど待ったら順番が回ってきた。夫婦だから自分たちはひとまとめで行われるようだ。結果的に言うと、自分は荷物を運ぶというか、運んだり降ろしたり、そんな単純な事をやる仕事を与えられた。どうやら最初はこの領があてがってくれた単純なお仕事をしてもらって落ち着いたらそれぞれ自分たちで職を見つけてください的な事だった。

 セイは冒険者ギルド……に併設されてる食事場のお手伝いらしい。とりあえず仕事も決まったし、自分たちは再び街へと繰り出した。すると物凄い人でごった返してた。朝も凄いと思ってたが、どうやらあれは序の口だったみたいだ。


 皆、やっぱり王妃様をみたいんだろう。自分たちもそんな一人だから、今か今かと空を見上げてその時を待ってた。

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