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#59

「ラーゼ様、お菓子でございます」


 そう言ってグルダフが幾つもの箱を持ってくる。これはいつもの事だ。何故なら私のところには毎日こうやってお菓子が届く。国のお偉方と知り合う度にその量は多くなる。まあそれはそうだよね。会う度にあの方からのあれが美味しかった――とか言ってたからね。そうするとあら不思議、毎日お菓子がありつける様になりました。

 しかもこの首都でも買えないような物を権力者は取り寄せてくれるからありがたい。

 

(私の為に血眼になって手に入れたと思うと優越感がでるなー。なにせ私は一切何もしてないんだもん)


 自分は楽をして、目的の物を手に入れる。理想だよね。まあ私程の美があれば、これが普通なんだよね。さてさてどれを食べようかな? グルダフに何個か見せてもらう。ふむ……面倒だから全部開けよう。どうせ明日もまた届く。だからグルダフに開ける様に命じた。するといくつかの箱の中から手紙が出てきた。これもよくある。

 そんな幾つかの手紙を無造作に開けては捨てていく。その手がピタッと止まった。

 

「ラーゼ様?」


 疑問の顔をするグルダフ。けどこれは言えない。なんせこれは人種からの手紙だから。連絡するなら、この手段でって音声に乗せてたんだよね。早速使って来たかって感じ。さてさてどんな返答だったかというと、なんとかして首都に潜り混む手伝いをしてほしいとかなんとか。まあそんな事だろうとは思った。実際あのデータでどこまで私の事信用させれたかはわかんないけど、あのアンティカに乗ってたやつはミリア? だっけに拘ってるようだったもんね。

 

(けどなー)


 ここで暴れるのはちょっと困る。遠くから眺めててほしい所だけど、こちらからの連絡手段はないし、この手紙にも日時と時間しか書いてない。つまりは一方通行なんだよね。私が行かなければ、そのまま帰るか? 

 

(帰らないだろうな〰)


 しかもいかないと私の信用は築けない。私自身が行く必要は無いんだけど、獣人を送っても信用させるのがめんどい。下手になんかさせるより、ここに囲ってた方が……いや流石にここは不味いか。どこか適当な隠れ家が必要だね。

 

「グルダフ下がって」

「はっ」


 疑問なんてグルダフは挟まない。私の言葉で部屋から出ていったグルダフを確認してカメレオンを呼んだ。するとどこかからかヌッと現れるカメレオン。ほんとごの変態は……私の全部見てるんじゃないの? まあそれはいい。

 

「人種をかくまえる様な場所ない?」

「人種に会うのか?」

「私がしてる事、分かってるでしょ? 必要なの。それに派手な事させない為だし」


 その言葉に少し考えた後に、カメレオンはいい場所を知ってると言って出てった。よしよし、色々と根回ししないと行けないね。ミリアちゃんの事は蛇にでも言って探して貰おう。それかアイツは知ってるかも。私は自身の部屋から外を見る。何も変わらない風景。そろそろこの景色にも慣れてきた。別に嫌いじゃない。綺麗だし。

 でもそれで止まる理由にはならないんだよね。私の足場になってもらう。何も気づかず、ただの日常を送ってればいい。私はどんどん忙しくなるけど、それは近づいてる証。この国が終わる時が。

 

 私は窓から離れて歩きだす。

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