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Δ157

 二人の体のおかげで私までラジエの剣は届かない。けどそれはほんの数センチの距離でしかない。さらに踏み込むだけで届く距離。勢いがなくてもその剣は貫いてくる。


「なに……ふぬけた顔してるのよ……」

「亜子……」


 亜子の体からはボタボタと真っ赤な血が流れでてる。それは不味い量だ。私の心配してる場合じゃない。


「逃げなさい。こいつは……私がなんとかしてあげるから」

「けど……そんな事したらあんたが……」


 亜子は強い。強くなった。鉄血種の力を得、ハステーラ・ぺラスを得、人種では最強クラスといっていい。けど、そいつは進化対だ。人種が進化できるのかはわからないが、少なくとも亜子は進化してない。それに今の一撃は致命傷だ。

 私を逃がす為に足止めするなんて……それは……自分を犠牲にする事に他ならない。


「あんた……帰るんでしょ? 元の世界に……」

「そうよ……だから……約束守ってよね」


 何言ってるのよ亜子。私があんたの世界への道を見つけても帰すあんたがいなくなったら意味ないじゃん。あんたの家族に死体だけ送るなんて、私はそんなのごめんだ。私は目じりに浮かんでた涙を腕で拭ってペルにいう。


「ペル、私を穴の中に投げなさい!」

「させるか!」

「させるのよ!!」


 亜子はハステーラ・ぺラスを広げてラジエルを自身と共に転送する。距離が空いたところでペルが私をぐるぐると回して開いたキューブの穴の方へと投げてくれた。


「後で罰とか無しだからな!」


 そんな事を言ってたが、罰なんて与えないよ。とりあえず私が戻ってくるまで、あんたはご主人様を守ってなさい。今のラジエルには対抗手段がないから、厳しいと思うけど、こっちもなるべく早く……


「げっ……」


 先回りするようにモノクロのアンティカが私を待ち構えてる。こいつは私がこの中に行くことを不味いと思ったのだろうか? 機械の癖に? さっきからこいつも大概気持ち悪いのよ! 私はマナを右手に込める。けどその時、何やらアンティカの動きがガクガクしだした。

 みると、羽根つきの奴らが何やらモノクロのアンティカに取り付いてる。あいつらが何やら妨害してるみたい。私はこの隙にキューブの内側へと落ちていく。キューブはとても深く、どんどんと外の光がか細くなっていった。代わりに内側からあふれてる赤い光が私を照らす。


「一体どこまで落ちるの?」


 不思議な事にいくら落ちても底なんて見えない。本当は底なんてないんじゃないかと思うくらいだ。魔法か何かで空間が捻じ曲げられてるのかもしれない。一体どうすれば? こうしてる間にも亜子がラジエルに殺されてるかもしれない。

 それを考えると……そうおもってると声が聞こえてくる。


『示してくだされ。神の器を』


 その声は聞き覚えある声だった。けど神の器を示すなんて一体どうやって? 私が神の器だーーって叫べばいい? 流石になんか違う気がする。だから私はマナを出す。人の身ではありえない量のマナ。これは神の器でしょ! 


 すると管のようなものが伸びてきて私を受け止める。その管は太いのも細いのもある。うねうねと職種の様に動くそれは、私の服の中に入って衣服を全て分解しやがった。


「なっ!?」


 今さら裸なんて恥ずかしくもないけど、流石にいきなりはね……エッチな管どもだ。さらに私の手足を絡めてきて大の字に開かせる。そしてレーザーのようなもので私の体の隅々までなぶってく。感触なんてないが、なんか舐められてる気分。

 それが終わると、大量の管が私の体を繭の様に包んできた。何やられてるのかわからないが、私は抵抗しない。なぜなら何か懐かしい気がしたからだ。

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