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Δ149

 真正面から相対してわかる。このラーゼという存在がいかに強大かということに。あふれ出す力に底はなく、いくら剣を向けてもブレもしないその様は本当に世界そのもの。こんな戦場のただ中で、一番の激戦の中心にいてラーゼの瞳にも肌にも曇りはない。透き通るように輝いてる。


 こちらは息を切らし、汗をたらし、力の限り鍛えた体を、信じる思いをぶつけてるのに、ラーゼの肌に汚れを作ることすらかなわない。世界の理はこいつを完璧に守り……だがしかし、そんなものがなくてもたぶん、僕の力ではラーゼに届くことはない。


(けど、それは……いまはまだ……だ!!)


 作戦はある。我ら獣人には呪いがあるらしい。世界より受けた呪い。その枷を外せれば……我ら獣人は真の意味で進化の道を取り戻せる……らしい。あいつがいうにはだが。


 僕はモノクロのアンティカをみる。今、あれには「奴」がいる。そして奴は再び、この血のシステムに入り込むためにいろいろとやってるだろう。今のラーゼの一撃はよかった。このマザーキューブがあいつのおかげで活性化してる。


 奴が言うには神の器はこの地の全てを支配する権限をその身に前もってインストールされているらしい。だからこの地のシステムはラーゼの力に反応する。だがそれをラーゼ自身はわかってない。だから今なら……いまなら奴がここのシステムを牛耳れる。


 だからもっとラーゼには力を……世界の理のページを開くその力をもう一度……


「ラジエル様」

「ティル」


 僕の傍にティルが浮いてきた。きっと姫に助力を願ったんだろう。彼女の手が僕の手に添えられる。強く握りすぎて血が出てる手だ。汚い……だが、ティルはそんなの気にせずに強く、けど優しく包んでくれた。言わなくてもわかる。傍にいると……その気持ちがつたわってくる。


 ティルはずっとそばにいてくれた。すべてを失った僕についてきてくれた。苦労を共にしてくれた。その彼女が信じてくれてる。負けられるはずが……あきらめていいはずがないだろう! 男なら……いや、今こそ男を見せる時だ。


「王の剣よ……僕は誰にも負けない。だから応えろ!!」


 胸の奥から何かがきしむ感じがする。それと別に、王の剣から深くまで伝わる力の本流。わずかにラーゼが眉を動かした。何かを感じ取ったのかもしれない。それともただ単に大好きなティルが僕と目の前でいちゃついてるのが許せないのか……けどもんくはいわせないさ。だってティルは……僕のものだ!!


 ティルと共に僕は王の剣をラーゼに突き出す。温かい……さっきまであんなにつらかったのに、ティルが傍にいるだけで、力が湧いてくるようだ。


「うおおおおおおおおおおおおおお!」


 王の剣がこれまでで一番の輝きを放ってる。王の剣は勝利をもたらす剣だ。この剣に認めれらたものは勝利をてにする。それはただの逸話じゃない!!

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