表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

567/2425

Δ143

「世界の理……だと」


 僕は奴を睨む。こんな不気味な奴の言葉がどこまで信用できるかなんかわからない。そもそもがこいつの言葉なんて信用する気はない。ない……が。この空間で脈打つアレは……呪いと考えればしっくりくる程の仰々しさをしてる。


「なんで……獣人に呪いがかかってる?」

「それは獣人が知ってはいけない事だ」

「じゃあ……その呪いってのをどうやって信じろっていうんだ!」


 こいつの口から出まかせという線もあり得るじゃないか。


「見えた貴様には感じれるのではないか? あの禍々しさが」

「……」


 確かに禍々しさは感じる。けど呪いかどうかは別だ。こいつの仕業かもしれない。僕は拳をもう一度構える。


「なんのつもりだ?」

「簡単な答え合わせだよ。貴様を倒してこれが貴様の幻覚じゃないか証明する」

「なんと野蛮な! この獣が!!」


 その口を大きく開けて、頭の中身が赤く見える。興奮してるのを現してるのだろうか? けど野蛮か……でもこれが獣人だ。獣なんだよ僕達は。素早く距離を詰め、踏み込む。そして拳を突き出した。けどそれは奴が後ろに詰んのめってかわされた。けど次はない。奴はしりもちをついている。


 拳で狙うには低い。なのでここは足で行く。この時、そもそも通じるのか? とか思ったが、こいつは必死に避けたし、今も両腕で顔を庇ってる。効果はある! 僕は奴の側面を蹴り吹き飛ばした。


「がっ――まっ待て!」


 更に距離を詰めた僕に向かって手を突き出して待ったをかける。随分と偉そうにしてた割には直接の戦闘能力は低いようだな。戦士としての動きが全く出来てない。これが演技なら大したものだが、そうじゃないようだし、警戒しながら止まる。


「こっちに戦う気はない!」

「こっちにある」


 そっちにはなくてもこっちはどうしてもこいつを消さないといけない理由がある。それは体を取り戻さないといけないからだ。確かにアンティカは強く便利だ。でもだからって元の体を捨てる気はない。僕は僕として生きていくんだ。目的を果たさないいけない。


 アンティカの体じゃ、獣人といえるか? いえないだろう。我らの無念は我らの……獣人の血が流れた体で果たす事に意味がある。


「この体か……なら返そう」

「貴様の言葉を鵜呑みにしなくても、貴様を倒せばそれで良いじゃないのか?」


 こいつの信用度はゼロだ。なら、危険を冒すよりも行動した方がよっぽど確実というもの。けど奴は言う。


「確かにそれでも貴様は体を取り戻すことが出来るだろう。だが、それだけだ。それまでだ」

「どういう事だ?」

「貴様達だけでは、あのラーゼという女には勝てないという事だ」

「僕達は貴様が思う程に弱くはない!」


 僕は奴の失礼な言動を一括する。確かにラーゼは強大だ。だが、倒す術はあると信じてる。そしてその力が自分達にはあると……も。


「足りんよ。ラーゼは理さえも作る存在だ。貴様らだけでは足りない。そこで我だ。我はこの地で生まれた。この地に住まう者たちの全ての技術の結晶、そして収集した全ての知を内包した存在だ。我はとても使える存在だ」


 ここの奴らが造った存在か……だからこんな不気味な見え方してるのか? 僕は元の体してるのに、こいつがこんな不気味なのは姿自体がないからだろうか? こいつがここで生まれたというのは信憑性はある。なぜなら、こいつはアンティカを使役してる。全くの嘘ではないだろう。


「お前はいつ裏切るかわからない」


 やっぱりの所そこだ。こいつを信じ切る事は僕には出来ない。


「停戦といこうじゃないか。目的は同じだよ。我は器が欲しい。そしてそれは神の器が相応しい。貴様たちはラーゼを倒したい。我は貴様たちがラーゼを倒した後の器を貰えればそれで目的を果たせることになる」

「それでその後、貴様が世界を支配するのか?」


 神の器とかよくわからないが、こいつにやっちゃ不味そうではある。すると奴は口角を挙げてこういった。


「ならそれまでにほだててくれたまえ。君たちの生き様で我をほだててくれれば、その輝きを摘むことを我はしないだろう。何故なら、我は生を感じたいのだから」


 どう……判断するべきか……ぼくは考える。こいつは信用できない。だが、生を感じたいというのは前にも聞いた。それは多分本心なんだろう。こいつがどんな存在か、作られという以外概要は何もみえない。だが、きっと自由ではなかったのだろう。

 僕というチャンスをこいつは掴んだ。それが今の現状。これからきっとますます戦いは激しくなってく。戦力の補強は必要だとおもってた。こいつがいれば、この地の情報が、技術がまるまる手に入るとなれば……それはオウラムにとってすごく魅力的だ。


 生き様か。これからの時代なら、腐るほど見れるだろう。それを見てこいつが変わるか、変わらないか……それはわからない。でも……きっと命を燃やす瞬間はその者の心に熱を移すんだ。だから……きっと変わる。


「わかった。貴様自身で僕達の生き様を見て感じろ。敵は……ラーゼだ!!」

「ああ、契約……いや願おう。その時を」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ