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Δ135

「流石だね」


 私はそういいつつ、必死に足をばたつかせる。何故かというとそうしないと溺れるからである。巨大になったグルダフがこの湖に着地した時、大きな波が出来た。籠は水の上に浮いてる訳じゃないから……とか高を括ってたら、津波の様な波に私達は攫われたのだ。

 流石にあれだけの波じゃあ直ぐには回避できない。お陰でこの様だよ。あの場で無事だったのはロリッ子だけだ。あの野郎、自身だけ悠々と宙に浮いてる。私を見下すなんて許せない奴である。


 そしてロリッ子はちゃっかりとうさぎっ子を担いでた。


「ちょっと返しなさいよ」

「ラーゼ様! 手を!」


 私がロリッ子に立ち泳ぎで凄んでると、後ろからシシの声がした。どうやらなんとか皆再び籠の上に上がったようだ。こっちも流石に服着ての立ち泳ぎもきつくなってきてた所だし、ここはまずは上に上がろう。私はシシの手を取って引っ張ってもらう。その際、シシが「おもっ」とか呟いたのを私は聞き逃してないよ。私じゃないから。服が水を吸って重くなってるだけだから。


 まあとりあえずその失言は良いよ。問題はうさぎっ子である。もっと厳密にいうと、うさぎっ子を奪い去ろうとしてるロリッ子である。


「返せとはおかしなことをいう奴じゃ? ティアは我らの仲間じゃよ。寧ろ奪おうとしてるのはお主ではないか?」

「確かにうさぎっ子はそっち側ね。けどいずれ私の物になる。てか今がその時だもの。なのにそれを邪魔してるのがアンタ。可愛い子には甘い私でも、流石にそれは許さないわよ?」

「とんでもない言い分じゃな」


 なんかロリッ子の奴の眼が暗く沈んだようにみえる。敵と認識されたか? どうやら向こうにとってもうさぎっ子はかなり貴重な人材らしい。それはそうか、だって進化のさせてたのはうさぎっ子の様だったしね。あの力を無くしたくはないんだろう。


 けどそれってただ単にうさぎっ子に利用価値があるから手放さないだけだよね? どう考えても私の方がうさぎっ子を大切に出来るね。自信がある。だって私はうさぎっ子が大好きだからだ。


「私はうさぎっ子ってだけでいいのよ。だから欲しいの。力とか、そんなのその子に求めてない。ただ傍にいてくれるだけでいい。それって愛って思わない?」

「それをティアが望んでないとしてもかの?」

「そんなうさぎっ子を傍に置いとくのが楽しいんじゃん。従順だけど、時々激情を垣間見せてくれたりするとゾクゾクしちゃうよ。そうじゃない?」

「変態が」


 何故か変態認定されてしまった。私は基本ノーマルな事しかないのに。そりゃあね。望まれたら変態的な行為に付き合う度量も持ち合わせてるよ。ほら、種が違うと交尾の仕方とか色々と変わるし。


「交渉は決裂じゃな。残念じゃよ」

「ちょっと、だからうさぎっ子は置いて行きなさいよ!」


 そういっても私達には手を出す手段が……とおもってると、後方から魔法が発動した。光の槍がロリッ子へと飛んでく。


「キララ!」

「とりあえず、あいつからあの獣人を奪えばいいんでしょ?」


 どうやら波にさらわれて流石に目覚めたみたいだ。更にアナハが新たな陣で空間に結界を張った。凄い手際だ。結界とか、人種は一人で発動できない。発動できるのはキララくらいなものだったのに……それだけあのDNAみたいな陣は凄いのだろう。


「どうやら、簡単には返してくれんようじゃな?」

「交渉決裂ってそういう事でしょ?」

 

 実際、こんな事をやってる場合ではない。けど、うさぎっ子を手に入れる機会を逃してなるものか。私はひそかに最高のタイミングを見定めるために真剣モードに入るよ。

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