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Δ133

「どうして……次から次へとこう!」


 私は自身のレイピアで目の前のアンティカの武器を弾く。けど武器とぶつけ合わせる訳じゃない。こっちは細いのを利用して腕を狙ってる。しかもハステーラ・ぺラスを利用して刀身を空間移動しての攻撃だ。まあだから成せるといえる。


 この二機のアンティカからは見た時からヤバそうな気配を感じた。そしてそれはゼロも同じ。そしてメルさんの情報によるとマナ生命体さえも屠ってるという。絶対に食らっちゃいけないし、下手したら打ち合ってもいけない代物だと判断した。だから狙うは体。


 けど、普通にやったら私の操作技術程度じゃ、奴らに届かない。直ぐに切り伏せられるって思った。だからこうなったら出し惜しみなしだ。ハステーラ・ぺラスは既に使ってたし、しょうがない。さらに鉄血種の部分を濃く出して身体強化を施してる。


 長くやり過ぎると、私は完全に鉄血種へとなる。そうなると、私はもう完全にこの世界の住人という事になるだろう。そもそも向こうの記憶自体を既に外部に移してないと保ってられないくらいにこっちのマナに私の体は馴染んでる。


 だから今更種族が変わろうが……なんてどうでもいいわけはないよね。マナくらいなら、世界が変わっても順応出来る。けど、種が変わると向こうでは私は人とは呼ばれないかもしれない。それは嫌だから完全に鉄血種へとなる気はない。

 便利ではあるから頼ってはいるが、バランスが大事なんだ。


 人種では捕えれない動きも、鉄血種なら捕えれる。常人を超えたスピードで体は動く。けど――


「づっ!」


 白銀と漆黒のアンティカは完璧な連携と予想外な動きが多い。そもそも突然、残像が見える程に早く動く時がある。これは私が鉄血種化してるからそう見えるだけで、人種のままだともしかしたら何も分からずに殺されてるんだろうか? 


 それに腕を伸ばしたり、隠しアームがあったり、機械なのを良いことに生身では絶対不可な回避行動と攻め手を使ってくる。今のは伸ばした腕でのパンチだったからなんと耐えられたが、武器を意識するあまり、奴らの連携とトリッキーな攻撃に対処できない。


 でもまだやられてはいない。やられてはいないだけで、追いつめられてるのは確かだが……とりあえずこっちの兵隊には動いてもらってない。相手がヤバすぎるし、マナ生命体が使えるのならそっちがいい。消滅してるらしいが、もしかしたらここでは復活出来なくても後で復活できるかもしれないし、マナ生命体以外はそうはいかないからね。


 マナ生命体は猪突猛進。それでどっちか一体でもわずかでも引き付けてくれればまだいいが、二機のアンティカは意に介していない。あのアンティカの視界はどうやら全方位みたいだ。確かにアンティカの視界は広い。ゼロだって全方位とは言わずとも百八十度以上はカバーしてる。


 でもだからって私はその全てを同時に見る事は出来ない。けど奴らはどうやら同時に見てるらしい。後ろからマナ生命体が近づいても接触する前に斬られてる。私が攻撃を当てれてるのはどうやらハステーラ・ぺラスの力が大きいらしい。

 だからこそ、向こうも私を狙ってる。魔法の援護も勿論してもらってるんだけど……、サイズが違うから半端な魔法はきかないし、ある程度時間をかけた魔法でもどうやら奴らの装甲は魔法をレジスト出来るみたい。反則である。


 そんな事を思ってると、側面から別の奴らが現れた。オウラムだ。奴らはアンティカを私に押し付けて直接後方で踏ん反りかえってる奴を狙う気らしい。それはこっちだって考えた、だけど……白銀の方が魔法を放ってオウラムの兵を肉片へと変えていく。


 こうなるんだ。こそこそとなんてできない。それなら私が……と思うんだけど、漆黒の方は私から離れない。こいつに背中を向けるのは怖すぎる。多分その時は終わりだ。オウラム勢の炎を操る奴と、中年っぽい顔の鋭い人が白銀の方へと向かう。一撃でやられるかと思ったが、あれはオウラム勢でも強い方だったからなんとか持ちこたえてる。


 それならこっちは漆黒の方に意識を集中出来る。感謝……はしない。だって奴らの刃がこっちにむかないとも限らない。さっきそうなったしね。奴らは仲間じゃない。機会さえあれば、私達を殺すつもり……そうおもって動かざるえない。


 私の……というかゼロの火力ではこのアンティカを倒すことは敵わない。それが今までの打ち合いでわかった。けどやりようはある。今までは二機の猛攻に逃げに徹するしかなかったけど、オウラム勢が来たのなら利用させてもらおう。私もこの世界に来て汚らしくなったものだよ。


 彼らだって命なのに……仕方ないって思う。だって私は自身が一番大事だ。私は鎖骨あたりにあるスモークをまき散らす。それで奴から姿を隠せるとは思ってないが、更にこっちには誤魔化せる手段がある。種によっては温度とかもっと別の方法で視界を補う奴がいる。


 そういうのの対策はこっちもしてる。なら向こうもしてるだろう。けど、それらのセンサーを一瞬でもかく乱する方法がゼロにはある。私の鉄血種としての力との融合技だけどね。だからこそ、奴だって一見ではわからないはずだ。


「ゼロ!」

『分かってます』

 

 私達の息はピッタリだ。スモークと共に展開するハステーラ・ぺラス。更にハステーラ・ぺラスから特殊な粒子を放つ。更にそれに乗じて私は漆黒のアンティカへと近づく。

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