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Δ127

「メル、その腕!?」


 私はメルの状態に気づいた。腕が抉られてる。どうやらさっきの揺れはあのアンティカのどっちかが攻撃してきたかららしい。そしてメルはそれを身を挺して防いでくれたんだろう。


『大丈夫です。私達はマナ生命体ですから』


 確かにメルの言葉通り、マナ生命体に死という概念はない。マナさえあれば、何度でも復活できる。けど、それならメルの腕は直ぐに治る筈。でもメルの腕は治ってない。


「腕は治らないの?」

『ここは特殊なので、難しいでしょう』

「ここのマナが邪魔なら、私のマナで押しのけるわよ?」

『それもいいでしょうが、どうやらあの者達は特殊な攻撃をするようです。存在を現してる限りは元には戻らないでしょう。それよりも早くその獣人をキララの元へ。下に居ますので』

「わかった。とりあえずマナはまいとくわ。兵隊を使いなさい」

『たすかります』


 私はマナを出しながら籠を後方に移す。私のマナで周囲の濃度が増し、再びマナ生命体達がその姿をはっきりと現してく。向こうは二機、こっちは事実状無限――の筈だった。


 マナ生命体の甲高い悲鳴が響く。それは聞いた事もないような声。白銀のアンティカに斬られて消えてくマナ生命体はそんな断末魔の声を上げてる。


「減ってる?」


 そんなはずはないのに、マナが切り取られてるように感じる。


「少しの間持ちこたえなさい。直ぐに援軍を連れてくるわ」


 私はそういってキューブの下に降りる。湖に浮かんでる展開した籠にはアナハとプリムローズの皆がいた。キララはまだ目覚めてないようだ。

 私は直ぐに籠を近づけてうさぎっ子を抱えてそっちに移る。血だらけの私達を見て皆がぎょっとしてた。


「ラーゼ様その血は!?」

「大丈夫、私のじゃないわ。こっちのよ。てかいつまで寝てるのよこいつは」


 そういってとりあえずキララを足蹴にする。アナハも簡単な回復魔法は使えるだろうが、うさぎっ子の体にはぽっかりと穴が空いてる。流石にキララではないと救えないだろう。だからこいつが眠ってると困るのだ。


「ラーゼ様、キララのおかげ……なんですよ」


 そういって静かにアナハが私を睨んでくる。う……流石に足蹴はまずかったか? 確かにさっきは私も危なかったし、自分で何とか出来たわけではないとわかってる。もしかしてアナハとキララが頑張ってのだろうか? それは確かに悪い事をした。

 けど今は緊急事態だ。


「ごめんなさい。けど、うさぎっ子を死なせる訳にはいかないわ」

「それなら私がやります」

「けど……アナハの魔力じゃ大怪我は治せないでしょう? 言っとくけど、今のうさぎっ子の状態エグイわよ」


 絶え間なく流れ出る血。体の内側も見えててとても直視出来る状態ではない。まさに重傷……というか確実に致命傷だ。まだ死んでないのが不思議なくらい。人種ならとっくに死んでる。多分獣人のしぶとさで生きてる状態だ。

 魔眼があるとは言え、普通くらいの魔術師のアナハには荷が重い。


「寝かせてください」


 けどアナハ譲らない。その目にも自信が見えた。私はその目を信じてみる事にする。寝かせたうさぎっ子の傍に来たアナハが目を見開いて更に何やら唱えると、DNAの様な陣が出る。これってスナフスキンと同じ……どういうこと? 分からないが、アナハの自信の根拠はきっとこれだろう。

 私はアナハの処置を眺めて更に周囲に目を配る。皆をメルの援護に向かわせないとね。

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