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53/2416

#53

「ラーゼ様、今日のご予定はいかがなさいましょうか?」

「うーんそうね、アンタの目にはそろそろ誰が落ちると思う?」


 ベッドの脇に控えてるのは黒猫マッチョこと『グルダフ』だ。パン屋の息子であの軽薄そうな猫と共に居たやつね。数日くらい忘れてたんだけど、どこからか蛇の奴が連れてきた。全く私の事、どこまで把握してるのか……時々怖く成るよ。まあどうせカメレオンの奴が見てたんだろうけどさ。最近はカメレオンもこっちの好きなように動かしてるから、もしかしたらカメレオンが気を利かせたのかもしれないけどね。

 自分が居ない時の護衛目的だったのかも。まあ速攻でグルダフは落とせたし、良い手足になってくれてたすかってるけどね。蛇みたいにくっつきに来ないし、従者の距離ってやつを守ってるのが良いよね。

 

「私には誰もラーゼ様の美に抗うことなど出来ないと確信しております故」

「よくわかってるじゃない」


 まあつまりは誰でも良いと言うことだね。

 

「対象達の予定はどのくらいわかってる? かち会えそう奴等から接触して行きましょう。どうせ落ちる寸前の奴等は向こうからこっちに来るんだし、浅い奴等に接触して落として行くわよ」

「仰せのままに」


 ここ一ヶ月で私宛に届く貴族の変態どもからの招待状は増える一方だ。どれだけ私を抱きたいのやら。こまめに接触していった結果が現れてるね。私って案外働きものである。まあ大体チヤホヤされるだけだからね。男なんて、美少女がニコニコしてれば簡単に落ちる生き物であると証明されたよ。可愛い女の子を邪険に出来ないかわいそうな生き物……それが私の中の男だね。

 

「さてと」

 

 そう言って私は寝間着を脱ごうとまくり上げて気付いた。パンツとおへそが露わになった姿をグルダフに見せちゃったよ。グルダフは真っ赤になったまま視線を床に落としてる。グルダフは硬派だから好きだよ。

 私はそのまま服を脱いで、グルダフに掛けた。そしてパンツ一丁でクローゼットを開けて服を着る。今日は白いフリル付きのキューティな服に、下はピッチリとしたふくらはぎまでのパンツで行こう。気付いたら増えてる服は、蛇の奴が勝手に買ってきてる。だから見たこと無いものも一杯。毎日服装は変えてるんだけどね……全く何着買ってくるのやら。

 この部屋の収納は今や、私の服で一杯だよ。もともと蛇はそこまでここ使って無くて殺風景だったからなんとか収まってるけどさ、そろそろ収まりきらなくなりそうなんだよね。

 

 でもそれは蛇が勝手にどうにかするでしょう。別の部屋を借りるか、それかもっと大きな屋敷でも買うか……それは私の知ったことじゃない。そんな事を考えて放置してたグルダフをみると、まだ私の服がかかったままで微動だにしてなかった。いつまで硬直してるのか。確かに見ないようにするのは素晴らしいけど、思いっきり息吸っては吐いてしてるの聞こえてるからね。

 私の匂い、堪能しすぎ。まあご褒美としてそうやったんだし、別に思いっきりやっていいけどね。服に顔を埋めないだけ、まだグルダフは倫理観保ってる。蛇なら口に含んでるだろうし。あいつ最近、ますます人目を憚らなくなってきた感がある。だから最近はお預け中なのだ。色々と、お願いして家に寄り付かなくさせてる。やっぱり国を落すとなると色々と大変なのだ。

 

「ほら、いつまでも嗅いでないで行くわよ」


 そう言って近づいた瞬間、私の細い体をその太ましい腕がガッチリホールドしてきた。そして顔を思いっきりお腹にこすりつけてくる。どうやら私の匂いで理性が飛んじゃったみたい。

 

「ラーゼ様ラーゼ様ラーゼ様!」


 硬派というのは訂正しよう。でも獣よりのグルダフは中々に可愛い。ペットがじゃれて来てる感じなんだよね。私は優しく頭を撫でてあげる。

 

「はっ! ラーゼ様……私は……」

「気付いた? 私の事、そんなに好き?」


 正気に戻ったグルダフに私は意地悪なことを聞く。すると何やら口をパクパクさせてうつむいた。一介の従者が主人に好きなんて言えないのかも。でもその気持はとても分かりやすく伝わってくる。だってグルダフは全然私を離そうとしない。寧ろもっと力を込めようとしてくる。けど力を込めすぎると私が痛いと思ってか何とか最適な力加減を探しる。可愛いやつである。

 

「大丈夫、思いっきり抱きしめてみて」

「ですが……」

「大丈夫っていってるんだよ?」


 そんな言葉にグルダフは一度立ち上がり、私の全部を覆うように抱きしめてくる。しかも今度は思いっきり力を込めて。けど大丈夫。だって力で身体を強化してるからね。してなかったらベッキベキだよ。自身の感情の全てを込めたような包容。微かに聞こえるグルダフの声に耳を澄ませる。

 

「愛してますラーゼ様」


 そう呟くグルダフに微笑んでると、何かが見えた。その身体の奥にピンク色の光……手を伸ばすと、何やら皮膚に触れた瞬間に魔法陣がでる。そしてそのまま内部まで腕が入っていって、その光に触れた。なにか暖かな物が入ってくる。

 

「コレが愛って感情?」


 よくわからないが、なんだか満たされた気分。美味しい気がする。もっと食べたいかも。そんな事を思って私はニヤリとした。

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