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Δ105

(どういうことだ? これは?)


 セーファの炎で壁を突き破って大きな空間に出た。するとそこはカオスな事が空間いっぱいに広がってるではないか。直ぐに視界に入ったのは、色のついた光に照らされてる少女達。その中にはラーゼがいた。アンティカの機能でラーゼを拡大すると、何やら視界の端で赤いマークが点滅しだした。


 どういう機能なのかよくわからないが、別段何も変わらないから放っとく。それよりもあいつの格好だ。なんて嫌らしい恰好だ。お腹も背中も大胆に出して短くともボリュームがあるスカートは太ももも半分くらいは出してる。


 数年前に見た時よりも成長してるのが分かるし、その胸は確実に育ってるのが分かる。それなりの距離がある筈なのに、とてもよくわかる。


(何故かラーゼが拡大されてる!?)


 僕はその事実に気づいた。色々と因縁があるからか、無意識に奴に視線が固定されたのかもしれない。決して見惚れたわけではない。決して。奴は仇であり、敵。見惚れるなんてありえない。飛散る汗、靡く赤よりも淡い色の髪……おもわずゴクリと肉体もないのに唾を飲み込む。


「ラジエル、姫だ」


 そのセーファの言葉に視線をようやくラーゼから外す。視線を向けると姫も拡大された。


(成長成されてる。そこまでの事が……うん? ティルはどこだ?)

「ティルが居ないな」


 セーファもその事に気づいたみたいだ。とりあえず僕達は姫の元へと近づく。何やらバカでかい化け物と戦ってるから、参戦した方がいいんだろうが、何も事情を知らずに戦闘に参加するのもな……それに見た限り、皆が強化されてる。


(あれはまさか……)


 嫌な予感がする。アンティカは何かメッセージを羅列して言ってるが、僕には意味がわからない。


「姫、これは一体? ティルは?」

「セーファ。そちらこそラジエルは?」

「これがラジエルです。その魂がここに」

「…………なるほどね」


 納得早いですね。流石は姫。その状態ならマナを判別できるのかもしれない。


「仲間たちのあの力の増強……まさかティルは――」

「貴殿達の察する通りじゃよ」


 その言葉にセーファが悔し気に歯を食いしめる。僕も悔しかったが、アンティカに表情はない。ただ静かに拳を握った。けどその時、ふわりと拳を包む暖かな感覚を感じた。


(え?)


 驚いた自分が視線を向けると、そこには淡く光るティルが居た。


「ラジエル様、ご無事で何よりです」


 ティルは僕の魂に触れてる。アンティカの体ではない。そして僕もティルに触れてる。アンティカの体では触れたかどうかなんて感覚なかったが今はティルの温かさを確かに感じる。


「ティル……つっ!?」


 僕は思わずティルを抱きしめた。案外この体も便利だと思ってたが、自分でも予定外に人恋しく思ってたのかもしれない。抱きしめたティルは温かくて柔らかくて……そしてなんといってもとても良い匂いがした。

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