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Δ94

「ここは……どこ?」


 暗い靄の中を私は進んでる。私の名前はアナハ。魔眼を持ち、人から一線を引かれてきた私の以前の世界の様だ。


「どうして私は歩いてるんだろう?」


 ふと、そんな事を思った。私はどちらかというと、歩くよりも立ち止まる事の方が得意だ。だってずっとこの目のせいにして自分の世界に引き込んでたんだから。そんな私をキララが連れ出した。連れ出したというか、ただ巻き混まれただけだが……でもあの出来事でラーゼに目をつけられたんだね。


 そのせいで色々と……結構色々とやらされたっけ? 魔眼持ちは便利だからって言って……それにマナの研究とかにもネジマキ博士とかから駆り出されてたりした。私は魔眼でマナが直接見れるからね。ラーゼが協力的じゃない時は、こっちにお鉢が回ってきてた。


 だから実際、キララがラーゼを避けてた時も私は普通にラーゼと接触してた。こんな事をいうと、独占欲強いキララが嫉妬するだろうから言わないけど。私ってある意味スパイ行為をしてたのかもしれない。まあキララだしいいよね。


 別に身内の事が知りたい親心みたいなものだったしね。あの二人もお互い素直になれば……うーんどうだろうか? キララは子供だし、ラーゼは特殊だからな……キララはなんだかんだ言ってラーゼの事を好いてる。

 あいつは知り合った奴大体好きになるからね。愛に飢えてるから。まあそこら辺私もそうなのかもしれないけど……けどキララほどではない。


「戻りたいって……私は思ってる?」


 私の足は止まらない。ずっと進んでる。その行為に疑問を抱いても動き続けてるんだ。あの変な奴らと付き合う日々が私の日常になってた証。


「なにか……ある?」


 私の視界には遠くに何かが映ってた。そして実際にはそれだけではない。踏みつける地面の感触が何やら柔らかくなった気がした。今までは床を歩いてた感じだったが、今は地面を踏みしめてる感じだ。私はその何かに近づいてく。するとその何かの正体がわかった。


 そしてその何かに近づくにつれて周りの靄も晴れていった。そこは乾いた砂が舞う大地。一面が赤く、そして空は地面と同じ赤茶けた空をしてた。見たことない空だ。けど見たことある景色もある。それらデカデカと見える星が一つ。

 いつもなら三つ見える星が一つ……ちょっと違うがサイズ感は同じみたい。そしてその星は青く光ってる。


 その目の前の姿を現したデカい銅像はその星を見つめる様にして朽ちている。まるであの青い星を羨んでるかのようだった。

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