Δ88
「女神? 何言ってんの?」
なんか痛い奴を見るような見てくるのはうさぎっ子である。やめてよ。なんか言った後でこっちも恥ずかしくなっちゃうじゃん。けど私の容姿的には女神だからっておかしくはないのは間違いないハズだけどね。
「女神? スナフスキンの奴が神だと? いや、そうか……なるほどのう。最上級の器か」
「どうしたんですか姫?」
どうやらロリッ子は何かを察したようだ。てか、あのロリッ子……姫なの? 確かにうさぎっ子よりも良い物着てるとは思ってたけど……オウラムの姫とかならうさぎっ子でも良さげじゃん。多分ラジエルとかいうヘタレも一枚あの国は噛んでるんだろうし……あの青い肌したロリッ子はもしかしてとても重要な存在なのでは?
なんかさっきからロリッ子ぽくない発言してるしね。見た目相応の精神年齢ではないだろう。
「いや、あれの発言は強ち間違っておらんかもだぞ」
「そんな……まさかほんとうにアレが神だとでも?」
うさぎっ子は失礼な奴である。まあうさぎっ子だから許すけど。他の奴ならそく消滅させてる所だよ。
「あれに宿ったのであれば、その可能性はあるであろうな。奴の力は上位種をも超えておる。なにせこの世界のマナを掌握しておる存在じゃからな。そんな存在、神と呼んでも不思議ではなかろう?」
「それは……そうですけど……」
歯切り悪くそういううさぎっ子。そしてこっちをにらんでくる。熱い視線がたまらないよ。
「私はあいつが神だなんて認めません!」
実際、私はうさぎっ子にそんな酷い事してない筈なのだけど? いや、故郷をぶっ潰したのは十分酷い事なのかもしれない。私も人種の国……自体はどうでもいいが、ファイラル領が潰されたら怒るとは思うしね。じゃあもしかしてファイラル領の中に簡易的なライザップ自治領でも与えればうさぎっ子もハッピーなのでは?
『神か……だが、いまや我らは神さえも恐れる必要なし。到達してるのだから』
デカいネズミが何やら言ってる。けど心なしか、その声は僅かに震えてる。実は私はビビってるんじゃない? トップスリーの奴だから傲慢不遜なのかと思ってたが、案外小心者なのか? そう思ってると、いくつもの陣が展開される。
陣といってもこの世界の物とは違うからぱっと見ではこの世界の人達はこいつが何をしようとしてるのかきっとわからないだろう。魔法陣はこの世界では当たり前に普通の形してたからな。円と図形と文字の組み合わせ。けど、今見えてる陣は全く違うものだ。
それはまるでDNAのよう形してる。それがこのこの空間にいくつも現れていた。
『だが、奴らの最高傑作の器。あの時、干渉できなかった神をも宿す最後のピース。調べさせて貰おう』
「何それ? 私に入れたいって事?」
そんな事を言うと、うさぎっ子があからさまに赤くなった。まさかまだラジエルとやってないの? うさぎっ子が処女なら嬉しいけどさ、あいつヘタレにも程あるでしょ。何年たったと思ってるのよ。呆れちゃうね。
「奴の狙いはあの器のようね。アレがもしもそうなら……どうやらアレを庇った方がいいかもしれんぞ」
「ラーゼを助けろと?」
「スナフスキンの奴が更に力を手に入れると不味いと思わんか?」
そんな会話を横目に、私はしっかりとスナフスキンの奴を見てた。確かに奴は私を狙ってる。正確には私が宿ったこの器らしいが……けどそれだけじゃない。それだけならあれだけの陣は必要ない。奴は私にちょっかいかけると同時に別の事を狙ってる。
(ふふ、利用させてもらおうじゃん。スナフスキンもうさぎっ子達もね)
私は唇をペロッと舐める。あっ、こういう所がうさぎっ子に嫌われちゃうのかな?




