Δ86
美しい音色はこの空間に響き渡る。けど何かが起こる訳でも無いような? それともこの曲の終わりに何かが起こるのか? でも聞いてる限り、繰り返してるかのような気がするんだよね。一つのフレーズがカノンしてるような?
まあ下の水はすごく光ってるんだけどね。ここからじゃ、下にいた皆が見えない位だ。大丈夫だろうか? アナハの事も気になるが……でもしたにおりようとはなかなか思えないよね。
「どうしますラーゼ様?」
「そうだね~ん?」
私は耳を澄ます。何やら雑音が聞こえるような気がしたのだ。この水の旋律というかピアノの音には似合わない音が上から聞こえるような? そう思ってると滝の様に水が流れてる場所の一つから、見覚えのある子が落ちてきた。
「きゃあああああああああ!! だから言ったじゃないですか! いったじゃないですかああああ!!」
「全く、安心せい。この程度、なんとでも出来るわい」
メイド服の上に局所を守る甲冑を嵌めてる子と、ドレスを着た幼女がんなやりとりしてる。その後ろからも何人かの種が落ちてきてる。その全てを紫髪の幼女が謎の力で受け止めて近くの木へと導いた。
「ふう、死ぬかと思いました」
「まああの世に近い場所かもしれんがな。ほれ、死神が居るぞ」
そういって幼女がこっちをみる。誰が死神だ。まあだけど、そんな幼女も可愛いから許してあげよう。可愛いは正義だからね。なんか喋り方がババ臭いが……そこも個性として受け入れる器のデカさが私にはある。
幼女の言葉で私の方を見たその子と目があった。すると突然、険しい目つきに彼女はなる。
「ラーゼ!」
「久しいねウサギっ子」
そう滝から落ちてきたのはウサギっ子だったのだ。内心私は近づいてハグしたい衝動でいっぱいだ。数年ぶりのうさぎっ子は綺麗になってた。流石、私が目を付けた子だ。ああーあのピンとたった白い耳をもふもふしたい。
「ラーゼ様おさがりください!」
「姫、ティナ様!」
なんかお互いの兵士達がピリピリしてる。まあこの場でピリピリしてないのは私くらいだけどね。だって再びうさぎっ子に会えたんだよ? 感動が優先でしょ。今すぐ傍にいって抱きしめたいのに、どうやら私達には障害が多いようだ。
「いいね燃えるよ」
私はポツリとそういって舌なめずりをする。するとうさぎっ子かブルっと震えた。私のいやらしい感情でも感じ取ったのかな? ぐへへ、色々と成長してるから確認するのが楽しみで仕方ない。まあその時は勿論お互いに触りっこにしてあげるよ。
美少女同士のくんずほぐれつなんて最高でしょ。そんな事を考えてると、何やら下から嫌なマナを感じた。そしてそれに姫? と呼ばれてた幼女が反応する。
「むむ、奴め! こんな所にまで入り込んでおったか!!」
何を言ってるのかわからないが、下の光を包むような紫の影が広がって、そこから赤い目とネズミみたいな顔をした巨大な何かが現れる。
『※※※※※※※※※※※※』
この世界とは根本的に違う言葉。誰もそれを理解なんてできなかっただろう。そう私以外は……




