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Δ78

 黒いアンティカが現れた。空間を砕くようにして現れたそれ。だけど、僕はその黒いアンティカよりももっと向こうを見てた。アンティカの視力……といっていいのかわからないが、それに映ったんだ。あの黒いアンティカが出てきた空間の奥に、何かが。


(もしかすると……)


 今見えたのが本体? いや、でも奴の魂は僕の体の中にあるんじゃ? とか思う。でもそもそもがアレがどういう存在なのかも僕たちはわかってない。あの存在を僕の中から追い出さないと体を取り戻すことが出来ないと思ってたが……根本的に間違ってる? 


 沢山の瓦礫が地面に落ちて視界が急激に悪くなる。大きく揺れる床に、舞う粉塵。そんな中、きらりと光る軌跡がみえる。


 僕はそれに反応して体をくねらせた。スッカスカ、でガリガリの体のおかげで何とか交わすことができた。けどその余波で吹っ飛ばされる。流石に装甲をパージしたフレームだけの体は軽いようだ。まあだからって吹き飛ぶか? って思うが実際吹き飛んだ。


(くっ、このままじゃ!?)


 流石に不味い。今の僕はまさに紙装甲。奴らの攻撃が一回でも当たれば……いや、かすれば致命的なダメージを受けるだろう。追撃してくる銀のアンティカを皆が攻撃して僅かだが、動きを阻害してくれる。だからなんとかそれも交わす。


 けどどうやら、別段奴らは持ってる武器にこだわる事はないようだ。剣で届かないのなら、魔法でということだろう。奴は自身の背後に光の弾を四つ作り出し、放ってくる。アンティカから見たら、拳くらいの大きさの弾だが、元のサイズ感で言えば、それだけで全身を包み込む程の大きさだ。威力は察してしかるべし……こんなのにあたるわけにはいかない。


 僕は何とか体を無理くり動かして三つまでかわした。普通の肉体なら、関節とか痛覚の関係で出来ないような不気味な動きだっただろう。けど、今のこの体ならそれが難なく出来る。でも流石に四つ目はこっちの動きまで予測して放ってきたみたいだった。


 それはそうだ……こっちができる事は向こうも出来る。なんせ同じ……かはわからないが、アンティカなんだ。その時、僕の視界に粉塵の中何かを示すマーカーが出た。僕はそれを瞬時に察して、腕を伸ばして、それを取った。


 そして腕を更にムリヤリ動かして取ったそれで弾を受け止める。


(づっがぁ!)


 一回が限界。受け止めた瞬間、手に持ったそれは砕け散った。それは最初に出てきたアンティカが使ってた古ぼけた剣だった。どうやら柄の部分じゃなく、刀身の方を掴んでたようだったが、どのみちボロボロだったからと刀身で受け止めても結果は同じだっただろう。


(上手く切り裂ければ……もっと)


 持つかもしれない? けど流石にこの体で繊細な動きはまだまだ不安が残る。だってそういうのは何回も何回も訓練をして馴染ませた果ての境地みたいなものだ。こんなボロボロの武器でやるのならなおさら。それこそ自分の剣でならもっと簡単に出来る自信はある。


 けど、今のサイズではあの剣は使えない。だってミニチュアだ。すると頭に鳴り響く警報と頭上への印で、僕は体を後ろに華麗に回転させる。どうやらもう一体の銀のアンティカが空から降って来たようだ。


 大きな衝撃。けど間髪入れずに二機が迫る。どうやら僕の事はこの二機で鎮める気の様だ。残りの古いアンティカは兵士達の相手をしてる。


(使える物を教えてくれ!)


 僕はそうアンティカに訴える。すると一瞬、全方位にマナが走った感じがした。そして沢山の情報が視界に表示される。落ちてるアンティカに、そいつらが落としたであろう武器も粉塵の中であっても見えた。


(ほんと便利だな。助かる!!)


 僕は一番近い使えそうな武器の元へと走った。そしてそれを取る。今度は何を取ったのかわかってるから、素早くそれを突き出した。それは槍だ。ボロボロになってるが、リーチがあるこれが近くに落ちてたのは運がいい。そう思った……のだけど、奴らが何かをする前に槍は砕けた。

 

(嘘だ!?)


 そう叫んだ僕の気持ちをわかってくれ。

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