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Δ77

セーファ視点です。

「命とは……素晴らしいと思わないか? 永遠の炎よ」


 そういってくるのは目の前の存在だ。姿はラジエルそのもの。というか、奴の体を乗っ取ってるのだから、それは当たり前だ。魔法によって一時的にそういう事が出来る術はある。だが、こいつの場合は色々と既存の方法と違う。私のこの「死眼」でも見通せない壁が奴にはある。空間を隔ててるその隙間……それが私の死眼を妨害してる。ラジエルにはそんな力はない。なら、この不思議な魔法? と呼べるかもわからない術は奴の仕業なのだろう。


 あの白銀のアンティカを召喚したのも、あの空間からだった。あんなもの、見たことない。いや、空間収納は見た事ある。私も物質を炎と化して融合できる。そういう種特有の能力か? 


「くだらんな。命は命でしかない」

「ふむ……同意だ。我も命を自覚した時、その虚しさを感じたよ」


 ラジエルの奴の眼が……網膜が怪しく光ってるのか、その金色の瞳が眩しい。いや、実際眩しいほどではない。が、煩わしい。目力がとても強くなってる。けど……その奥の深淵はとてもむなしく感じる。


「命は、生きて輝く。命は生き様と共に燃える。だから、我も燃やしに来たのだよ。我の命という生き様を」

「その為に選んだのがその体か? あの人形を使った方がよかったんじゃないか?」


 確かに獣人の体は頑丈だ。だが、あの鋼鉄の体には及ばないだろう。それに上位種にも……しかも獣人はマナの使い方がそこまで上手いともいえない。だからこそ、中位の上位にもいけない位の種なんだ。まさに獣。まあラジエル達はそんな獣人の殻を破ろうとしてるが。


「あれは道具であって器ではない。熱がないではないか」


 どうやらこいつにはこいつなりのこだわりがあるようだ。確かに拘りは大切だな。だが、それは一応にも私の友。素直に言って奴にやる気はない。


「貴様は……その体から出ていく気はないのだな?」

「我に見合う器を返すのなら、考えなくもない」

「器?」

「神を宿す為に作られた器だ。何者かによってその器が取られてしまった」


 神を宿す器? と……なると、こいつは神? 自称だろうが。こいつは確かに得体がしれないが、力はとても曖昧だ。それこそ、あの空の三神には及ばないだろう。まあ邪魔な空間のせいで完璧にはわからないが、だがそこまで的を外れてるとも思ってない。


「貴様は神……なのか?」


 だが一応確認の為にもそう聞いておく。


「我はそれに届く存在だ。器さえあれば、そうなれる。それだけの物が我にはある」

「ラジエルはその器の代わりか」

「獣人なのは僥倖であった。我にも耐えられる下地がある。呪いも我が解除すれば、更にマシになるであろう」

「つっ」


 その言葉を聞いた瞬間、私は特別な炎を奴に向ける。それは見た目は変わらなくても今までの炎とは違う。それは空間にまで火をつける。


「永遠の炎……貴様」

「それは世界の秘密だ。なぜ貴様が知っている?」

「我は全てを知っている。このままでは世界に干渉できないだろう? 呪いを解き、獣人のマナへの束縛を解く」

「それは貴様がやっていい事ではない」


 奴を守ってる空間はどんどん燃えてる。逃げ場は既にない。


「貴様のその魂さえ、燃やし尽くす」

「永遠の炎よ。確かに貴様にはそれが出来るだろう。だが――」


 頭上から黒い腕が突如生えてきた。その腕に殴られて地上に向かって落ちる。そんな中、自身を殴った腕を見ると、ひび割れた空間から全体が出てくる。それはさっき出てきた白銀のアンティカの正反対。漆黒の鎧に身を包んだアンティカだった。

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