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Δ68

「貴様が操ってるのか?」

「そう思うなら、そう思っとけばいい。生者のままなら答えてやろう」


セーファの言葉にそう返した奴は、その言葉と共にその体を空気に溶かしてく。


「仕方ない、セーファ。今は戦いに集中だ」

「そうだな」


セーファはアンティカを舐める様に見る。そして実際に舌を出してその唇を舐める。そんな仕草に思わずその瑞々しくなった唇を見つめてしまう。


「なあ」


セーファがそう呟いてドキリとした。


「あれはそれなりに強いのか?」


どうやら僕の焦りは杞憂だった様だ。セーファは別にんな事気にも止めて無かった。ホッと胸を撫で下ろしつつ真剣な顔で言葉を紡ぐ。


「人種の躍進の立役者はアレだ。そもそものベースがここなら人種があれだけの物を作り得たのも納得出来る」

「つまりは人種の方は模造品。オリジナルはアレというわけか」

「そうだと思う」


まあ、完全な想像でしかないが……これまであつめて来た情報と照らし合わせてもその可能性は高い。人種の国にはこちらの間者も居る。だからこそ、奴らの動きを察知してこっちも動いたんだ。約束の地……いや、こちらにとっては災厄の地にあの女が向かうとなれば捨て置く事はできない。魔王との接触もあったが、そっちは先送りにしてこっちを選んだ。それは自分自身の感覚がそれを許してはならないと訴えてたからだ。


「――づっ」


 アンティカのプレッシャーじゃない。それはセーファから放たれてる。外側に向けて警戒してた兵達も行き成りの内側からの猛烈な威圧に呼吸を忘れる程に動揺してるのが見て取れる。


「セー……ファ……」


 上手く動かない喉を何とか動かして壮絶な顔をしてるセーファに声を掛ける。聞こえるかどうかわからなかったが、どうやらちゃんと聞こえたようだ。


「ああ、すまん。先行するぞ!!」


 どうやら抑える気はないようだ。我ら獣人も戦いが好きな種族だが、奴はまた別格だ。永遠という時の中、自身を倒せる者を探し生き続ける種と言われるだけある。まあだが、セーファのような不死鳥族も最強というわけではない。あいつらだって負ける。だがそれでも死なない。だからあいつら自身が勝つまで挑み続ける。そうなると実質、自身を倒せる者を探し出しても結局その望みを自身で潰してるんだがな。けどそれが不死鳥族の本能だ。

 奴らはそこに疑問なんて挟まない。そしてああなるともう止まらないと知ってる。セーファは軽やかに浮き上がると、アクロバティックな軌道を取って外に飛び出していった。どうやら奴らの注意を一手に引き受けてくれたみたいだ。


「よし、セーファが先行した。飛べる者達は奴に続け。一部隊は離れてる部隊を集結する為に動いてくれ。状況も知りたいからな。残りの者達は我に続け! 空が奴らの領域でないと教えてくれる!!」


 その声に兵たちの声が重なる。必ずあの人形共屠って見せよう。自分なら……自分たちならやれる。そう心に言い聞かせる。

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