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Δ42

「これは……」


 慎重に湖の傍まで歩み寄ったグルダフが何やら驚いてる。上を見ると虹に彩られたゼロの姿。なんか絵になる。まあけど、ここでいつまでも呆けてる訳にもいかない。私はグルダフに声かけて近づくよ。そして籠から降りて皆で湖の傍に寄った。何小隊かは周辺警戒させてるけどね。


「ラーゼ様、私達も……」


 通信でそんな声が聞こえてきたから許可した。どうやらこの光景を見て、プリムローズの面々も我慢できなくなったみたい。今までは物騒だったし、都市の廃墟も珍しかったけど、綺麗とは言えなかったからね。我慢出来たんだろうけど、流石に乙女にこの光景を我慢するとか出来ないみたい。まああれだよね。こういう光景見たら、女として「きれい~」とか言っときたいよね。その方が女子っぽいし。出てきたプリムローズの皆は沢山の虹にとか見てうっとりしてる。

 まあ、打算とかないか……この子たちは。


「ラーゼ……様」


 大多数の人が視線を上に向ける中、私やアナハは下を見てた。アナハもマナが見えるもんね。多分彼女もこの下に流れるマナを見て気づいたんだろう。グルダフもこれに気づいたんだね。まあグルダフの場合はちゃんと周囲を見回した結果だろうけど。確かに頭上に広がる光景は素晴らしい。写真にでも撮っときたいし、どっかの芸術家に見せれば傑作でも残してくれそうな気がする。けど、ここで重要なのは多分この湖の下にあるものだ。ここの水はとても良く澄んでる。

 だから水の中まで見えるんだ。そしてその中は紛れもない機械。反円球場に広い空間が銀色の材質の何かで作られてる。そして底には大きなコアがみえる。だごちゃんや、蜘蛛のとも比べ物にもならない大きさだ。だごちゃんのは私の手でも持てるくらいのものだった。蜘蛛のは私の顔くらいはあったと思う。けど、両手で抱きしめれば抱えられそうな大きさだった。あの図体からしたら、だごちゃんの方が詰まってた感がある大きさだった。けどここにあるのはスケールが違う。水の中だし、実際はどこまでか大きいのかよくわからないが、余裕で数メートルはあるだろう。


「あっ、今お魚がはねましたよラーゼ様」


 そういったのはコランだ。無邪気な笑顔でそういってニコニコしてる。可愛い。とりあえずナデナデしてあげる。


(それにしてもお魚……ふつうにいるね)


 澄んでるから魚の影はよく見える。流石に近づいてはこないからどんなのかまではわからないけど……そんなことをおもってると空を飛んでたゼロが凄い勢いで湖に直進する。そしてズバッと腕を薙ぐ。何やってるんだあの子? とか思ってるとゆっくりとこちらに近づいてきて地面に降りる。そしてその握った拳を開いて収穫を見せてくれた。それは魚だ。でかい図体の癖に器用な物で、まだ魚はぴちぴちとはねてた。


「なに? 自慢?」

「ぬお!? まさかそんな!!」


 私がそんな感想を漏らしてると何故か周囲の人達は全く違う反応してる。え? そんな珍しい魚だった? 別にグロくないし、カラフルでもないけど? するとキララが教えてくれる。


「ラーゼ、あれは海の魚と川の魚なの」


 そんなバカな!? キララに教えられる日が来るなんて……なんか負けた気分。でも海の魚とか川の魚とかいうあたり、キララのアホさが出てるしまだ救いが……


(まさか!? 私に……あわせた? 淡水魚とか知らないとか思われてる?)


 やばい。もしもそうなら、今のキララの顔がめっちゃうすら笑ってるようにみえる。くっ、今はプリムローズの皆もいるし、こいつよりアホとは思われたくない。


「う、うーん、それはおかしいね。うん」


 とりあえずわかってた風に装った。知ってたし。最初からわかってたから。よし、とりあえず誰も突っ込んでこないから誤魔化せたと思おう!! 

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