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Δ35

「ラーゼ様、よろしいのですか?」


 私の籠の周りに残ってる兵士の一人がそんな事を聞いてきた。彼はグルダフの腹心の部下の一人だ。ちなみに人種ではない。私はそこら辺、差別とかしてないからね。人種以外でも偉い地位になれるようにしてある。他の領では絶対にありえない事だ。劣等感強い人種は自分の国だけでは偉く居たいらしいからね。特に上にいる奴らは。別にその気持ちがわからない訳じゃない。けど能力的に考えたら……ね。どうしたって人種は他種族に劣るのだ。


 なのに自尊心だけで、大きな力を使わないのはもったいないじゃん。きっと人種は弱いって事を誰よりも人種自身がわかってるからなんだろうなって思う。でも私は大丈夫なのだ。私は適材適所をしてるからね。確かに人種は弱い。けど、頭を使う事は得意だ。知恵が廻るといった方がいいのかな? そしてやっぱり他の種は力を強める努力はしても何かを作ろうって事はないんだよね。弱いから人種は色んな物生み出してきた。だから技術者とかは大体人種だ。

 

「いいよ。やりたいようにやらせれば」

「流石はラーゼ様。その慈悲深さ。まさにハサファの御心」

「あはは……」


 ハサファと言うのはこいつの種の神様みたいな……そんな存在だ。ファイラルを大きくする為に領地外に侵攻した時に侵略した種の一つ。彼らはとても抵抗が激しかった。それだけ武闘派だったのだ。けどマナ生命体のゾンビアタックとかで蹂躙した。彼らの悲劇はまだマナ生命体が維持できる範囲にいたことだね。そうじゃなかったら多分こいつらには勝てなかったよ。実際蹂躙した時もずっと反抗的だったんだよね。けど、私を見た瞬間に掌返した。


 どうやら私がそのハサファだと感じたかららしい。私は別にそれを認めた事はない。けど勝手に信奉されてるから便利に使ってるのである。


「貴方達はなんともない?」


 人種はマナに鈍いけど、他種族は違う。もしかして何か、人種が気づかない何かに気づいてるかもしれない。私はそう思った。だって彼らも糸に絡まれてるからね。


「今の所は特に。ただ、何やら身重ですが」

「……」


 でしょうね。と言おうと思ったけどやめた。私には彼らが糸に絡まれてるのが見えるけど、他はそうじゃないみたいだしね。けど他の種の奴は少しは糸を感じてるみたい。でもそれでもこのくらいなのか……私にはめっちゃ絡まってるようにみえるんだけどね。動きをそこまで阻害するわけでもなく、今の所操られてるのはアンティカだけ。あの蜘蛛の目的というか……役目がみえない。


 そんな会話をしてる内に国軍の奴らが空へと飛び、蜘蛛の一体を囲んでる。何か彼らも隠し玉があるみたい。あの自信からはそう感じた。まあけど、そこまで期待してない。でももしも倒せるのなら……それはそれでたすかるしね。グルダフの奴もアンティカ相手にはいつまでも持たないだろうし……壊す気で行けば、まだどうにか出来るだろうけど、それは許可できないんだよね。だからここはキララ頼み。キララはさっきから魔眼を持つアナハの支持を仰ぎながら空の魔法陣に向けて自身の魔法を割り込ませてる。


 そして何個かのキララの陣が糸を降らす魔法陣と重なってみえる。するとその瞬間、空のデカい陣が砕けた。その時だ。「やっ」――そんな声を出して、喜びを分かち合うとした三人の体が震える。私は蜘蛛に視線を移すと、蜘蛛の沢山の目が赤くなってた。そして国軍を蹴散らして蜘蛛はジャンプした。不味い!! そう思ったときには大きな振動と衝撃が響き渡る。

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