Δ32
「ラーゼ様、遺跡です」
そういって来たグルダフに応えて私は外を映してる魔光石に触れる。すると拡大されて少し先の遺跡を拡大表示する。長方形の長い建物が蔦に絡まれてる。
「ビルっぽいなぁあれ」
「ビル?」
隣にいるキララが疑問形でそう呟く。けど私は別にそれを相手にはしない。キララだからね。前に見た場所はもっと未来感がある建物がいっぱいだったけど、今見えるのは私の薄くなった記憶の片隅にある向こうの世界の建築物っぽい。なんかあんまりわくわくしないよね。
「あの時は確か地下だったんだよね……」
もしかして重要な施設は地下の方にあるのかもしれない。定番と言えば定番だ。私達は遺跡に入った。まあ遺跡までも道っぽい所をすすんだんだけどね。もしかしたら全盛期はちゃんと道路が繋がってたのかも。この世界じゃ町と町は隔絶してる。道も整備されてる所なんてほとんどない。まあ最近はマシになったけどね。けどここまでの道すがらで見つけた道は道路だった。バッキバキだったけどね。けど以前はきっと綺麗で整備されてたのだろう。
てか道路の後を辿ってけば、別の都市に行けるんではないだろうか? とか考えたけど、やっぱりやめた。だってこうやって外に出てる場所よりも地下を目指した方が良さそうだからね。多分地下鉄があるはずだ。なので最優先に探すのは駅に続く道だ。
「ラーゼ様、アレを!」
「見つけた?」
「いえ……敵です」
「うげ……」
グルダフが指し示す方向にはデカい蜘蛛がいた。メカメカしい鉄製の蜘蛛。いや、実際鉄かはわからない。そんな風に見えるだけだ。そしてデカい。ビルの側面に張り付いてる奴は五メートルを超えるデカさだ。いや、脚を合わせると十メートルを超えそうだ。そして蜘蛛特有の沢山の目がギョロギョロ不気味に回ってる。そしてそんな蜘蛛が更に三匹はい出てくる。
「倒せそう?」
「命に代えても」
真剣な表情でそういうグルダフ。アンティカで相手出来ればよかったんだけど……亜子は私達と一緒に行くからね。まあまだゼロに乗ってるから先にあの蜘蛛を退治してもらうか? 流石に地下にまでアンティカを持ってく事出来ないもんね。
「亜子」
「わかってる!!」
亜子が空戦部隊と共に蜘蛛に攻撃を仕掛ける。けどそれは見えない壁に阻まれる。けどめげずに攻撃を続ける。だけどめっちゃ硬いようだ。遠距離では効かないと判断した亜子が蜘蛛へと接近する。その手には剣が握られてて、近づいたゼロはその剣を突き刺す。だけど、それさえも阻んだ。あの剣もただの鉄の塊っ訳じゃないのに……このままじゃ効かないとわかった亜子は赤いマナを噴出させる。そしてただの剣が分離して剣が伸びた。剣と剣の間からは赤いマナが出てる。
ゼロは剣を巧みに操り何回も斬撃を繰り返す。縦横無尽、全方位からの攻撃。それは少しずつ奴らのガードを削っている。
「ん? 何か変なマナを感じる?」
てかそういえばなんであの蜘蛛は反撃をしないんだろうか? そういう役割じゃない? でも見た目的には超凶悪そうなんだけど……あいつはなにをやっている? 何か嫌な予感がする。私はマナをあの蜘蛛に伸ばす。




