表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

420/2428

θ157

「ちょっと黙ってて」


 私は周囲で言い争ってる冒険者とアスタナの面々にそういうよ。ちょっと不機嫌さを乗せればこの通り、直ぐに静かになる。さっきから色々と試してるんだけど、なかなかこの剣は反応しない。もしかしたら中に誰かいたら反応しないのかもしれない。けどそれじゃあ、困るから触れて過剰にマナを流し続けてたんだけど……そこまでの変化はなかった。この剣の周りに現れた魔法陣の色が鈍色から純な白銀に変わっていったくらい? それがどういう意味かはしらない。


 まあマナはその生物の色に染まる物だから、多分色が変わってたって事は、何かしらの効果はあったはず。そして今、これだ。どうやら他の奴らには聞こえてない見たいだけど……


「「ラーゼ様!!」」


 そういってこの部屋に飛び込んできたのはフィリーとミラ。どうやら二人にも聞こえてるみたいだね。それはやっぱり私達が同じグループだからなのだろうか? でもそこには特殊な契約とかは一切してないハズだけど……魔法的ななんやらとかは全くないのに私達にはこの歌声が聞こえる。それは『絆』って考えていいのかな? 


「二人にも聞こえる?」

「はい」

「これはシシちゃんと~コランちゃんの声です~」


 二人の声は確信的だ。まあ私達ならこの声が誰なのかなんてすぐにわかる。二人がどういう状況なのかはわからないけど、歌う程に余裕があるのか……それともなにかのメッセージなのか。これに応えるにはやっばり歌うのがいいのかな? 


「二人は大丈夫?」


 私はフィリーとミラにそう尋ねるよ。別段外傷とかがあったわけではない。けど今日の事は精神的にかなり堪えた筈だ。だからそうとう疲れてるだろう。そんな二人に更に無理させるのもって考えちゃう。


「何を言ってるんですかラーゼ様」

「私達は~五人でプリムローズですよ~」


 私のそんな考えを他所に、ミラとフィリーはそういってくれる。そうだよね、私達は五人でプリムローズ。それはこれらもずっと変わらない。かわら……もしかしたら追加とか脱退があるかもしれないけど、その時はその時だ。それもアイドルの宿命。けど今はこの五人がプリムローズで……そして最高のメンバーだと信じてる。


「犬達、曲とマイクを用意して大至急!」

「「「は、はい!!」」」


 犬達の方が大怪我おったわけだけど、まあもう治ってるし大丈夫でしょう。顔色悪いけど、私の指示を聞いてその顔色が少し戻ってた。それはきっと私達がここで歌う気だとわかったからだろう。犬達は私達の大ファンだからね。どんな状態でも私達が歌えば元気になるんだろう。冒険者の面々もなんとなくざわめく。それは期待とかが込められてるとわかる。けど違うのはアスタナの面々だ。まあ、こいつらにとっては「何行き成り言ってんだ?」ってのもわかる。


 けどこいつらには既に私を止める術はない。反対など出来ない。だから問題ない。この目の前の剣と共に、アスタナ全員私達の虜にしてあげる。速攻で準備を終えた犬達が私達にマイクを渡す。そして曲を流す。曲は勿論今、聞こえてる歌だ。まあ最後のサビ部分に差し掛かってるけど、そこからでいいよね。だってシシとコランに合わせた方がきっといい。ここにいる面々はビックリするかもだけど、今回歌うのはファンの為にじゃない。シシとコランへと届けるためだ。


 私はミラとフィリーと目くばせする。そして――届け――と念じて旋律を重ねる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ